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国連「緑の気候基金(GCF)」の内部不祥事多発問題で、事務局長のグレマレック氏が見解。「緊急事態」と認識。全スタッフ向けオンライン説明会実施(RIEF)

2020-08-28 13:52:18

GCF005キャプチャ

 

 組織内の不祥事多発が明るみに出た国連「緑の気候基金(GCF)」の事務局長、ヤニック・グレマレック氏が指摘された事態について「緊急事態。組織の信頼性を確保するため、取り組みを継続する」と述べた。同氏は報道で指摘されたことを受け、全スタッフを対象としたオンライン・フォーラムを開催、職員らからの質疑を受け付けたほか、不満が集中したマネジャークラスへの研修実施を公約した。

 

 GCFの内部で性差別やハラスメント等が横行しているとの問題は、英フィナンシャルタイムズ(FT)が報じた。https://r.nikkei.com/article/DGXMZO63110870X20C20A8000000?type=my#AAAUAgAAMA

 

 FTが報じたGCFの内部資料によると、同基金内の組織「独立規範ユニット」への不祥事の内部通報が19年は40件に達し、前年の21件から倍増した。またGCFの本部職員とOBの合計17人がFTの取材に応じ、上司による権限の乱用や人種差別、性差別、ハラスメント、不適切な関係などの問題行為を目撃または経験していると話した。https://rief-jp.org/ct12/106046

 

GCFの事務局長のグレマレック氏
GCFの事務局長のグレマレック氏

 

 事務局長のグレマレック氏は、FTの取材には応じなかったとされるが、27日のガーディアンの取材に対して、事態を深刻に受け止めていることを認め、職員向けに説明会を開いたことを明らかにした。

 

 同氏は内部通報が1年で倍増したことを認めたうえで「苦情の中には多様なものが含まれており、人事や規律を巡る問題も入っている。すべてが不祥事ではない」と強調。通報があったもののうち、是正取り組みの対象となったのは、18年も19年も1件だけだったと説明した。

 

 GCFは途上国の気候変動対策を支援するために2010年に設立された。本部は韓国ソンドに置かれ、61か国の国籍を保有するスタッフ約330人が働いている。日本人職員は5人とされる。ファンドの資金は先進国からの拠出金で賄われ、これまで拠出額は第一次増資を含めて約98億㌦。62億㌦を各事業に資金配分している。

 

 GCFの資金は民間資金の呼び水にもなることから、途上国側は資金の獲得で競うケースが多い。このため、先進国代表と途上国代表で構成する理事会での決定を巡って紛糾することもあるとされる。マネジャー、スタッフは国連系の国際公務員のほか、先進国、途上国からの派遣者、韓国のローカルスタッフ等が混在としている。グレマレック氏は「GCFはまだ設立10年の若い組織。多様な課題を抱えるが、将来的に整理していく」と述べている。

 

https://www.theguardian.com/global-development/2020/aug/27/boss-vows-to-tackle-misconduct-claims-at-un-green-climate-fund