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英国で海藻栽培や気候変動に強い海産物の生産等を支援する「ブルー・インパクト・ファンド」設立。ファンド規模は約105億円を目指す。英国人もノリを食べようということかな?(RIEF)

2020-11-27 13:59:49

Saeaimpact001キャプチャ

 

 海産物や海藻等の生産・販売等にフォーカスする「ブルー・インパクト・ファンド(Blue Impact Fund)」が英国で立ち上がった。海洋環境の改善と気候変動の影響を受ける海洋産業の支援を目指す。投資対象事業は、海藻の栽培、気候変動に強いカキやムール貝等の養殖事業、その他の海洋関連産業の普及等を目指す。ファンド規模は当初は2500万ポンド(約35億円)で、7500万ポンド(約105億円)まで拡大する予定。

 

 再生可能エネルギー事業等、グリーン事業を対象とするファンドは増えているが、海洋関連事業を対象とするブルーファンドの創設は目新しい。投資対象事業についてはすでに計画中の企業を含めて、24件以上がリスト化されている。対象事業全体では9000万ポンドの事業規模になるという。

 

 新ファンドの投資アドバイザーとファンドマネージャーには、社会企業のFinance Earth、環境NGOのWWF、メディアのSky等が参加する。いずれも「オーシャン・レスキュー・キャンペーン(Ocean Rescue  campaign)」を展開している。

 

 Finance Earthの担当者は「ファンドはポジティブな環境インパクトとともに、ビジネスリターンも追求する。海藻等は食料から飼料、バイオプラスック原料、化粧品や化学品原料等に幅広く活用できる再生可能資源として大きな価値を持っている」と評価、社会貢献だけでなく事業化を重視するとしている。

 

 海藻はダイエットに適した健康食品になるほか、栽培に際して環境フットプリントが低いというメリットがある。また養分にはヨウ素や繊維質、ビタミン、酸化防止要素等が含まれており、海藻栽培によって沿岸部のエコシステムにおける生態系の損失を回復させる効果も期待できる。

 

 WWFはファンドの投資委員会に参加し、ファンドの環境インパクトの評価やモニタリングを支援する。海藻産業や養殖産業は小規模企業が多い。だが、高い成長力を持っており、ファンドではエコシステムの回復・維持と、海洋産業の発展を両にらみで推進していくとしている。

 

 「Seaweed for Europe」のレポートによると、海藻産業は2030年までに欧州全体で8万5000人の雇用を生み出す潜在力があると推計されている。すでに海藻を含む海洋資源の養殖等では日本を含むアジア諸国での市場化が進んでいる。英食料農業機関(Food and Agriculture Organisation of the UN)の推計では、2018年時点で世界の海藻の99%以上はアジアで生産されているという。

 

 英国の家庭の朝ごはんに、ノリが出される日も近い?

https://www.privateequitywire.co.uk/2020/11/24/292664/uks-first-seas-impact-investment-fund-launches