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米国際開発金融公社(DFC)、初のグローバル・インパクト投資戦略公表。5年間で総額250億㌦投じ、民間資本と合わせ750億㌦を投資へ(RIEF)

2020-11-25 23:16:58

DFC001キャプチャ

 

 米国際開発金融公社(DFC)は、同公社として初めてとなるグローバルなインパクト投資戦略を公表した。2025年までに総額250億㌦(約2兆6000億円)を投じることで、民間のインパクト投資資金500億㌦を動員、合計750億㌦(約7兆8000億円)を米外交戦略に合致する途上国の開発に投資する。DFCはトランプ政権下で誕生した国際金融戦略拠点であり、バイデン次期政権が今回のDFCのロードマップをどう評価するかが注目される。

 

 DFCは2018年にトランプ政権下で成立した「Better Utilization of Investments Leading to Development (BUILD) Act」によって2019年に、従来の海外民間投資公社(OPIC)と開発信用機関(DCA)を合併して設立された。OPICは民間資金を海外の開発事業に投じることを促進する役割を果たしてきた。DFCもその機能を軸に官民投資資金を途上国に投じる路線を引き継いでいる。

 

 ただDFCは、国連主導の途上国支援とは一線を画し、グローバルな開発支援と米国の外交政策、米納税者へのリターンという3つの目標実現を掲げる。またOPICの環境・社会基準は、世界銀行等と同等の水準で環境社会的影響の保全、健康、安全性等に配慮し、原発や核燃料等については投資や貿易の対象外としていたが、DFCは原発事業も支援対象に加えている。https://rief-jp.org/ct6/105180

 

 DFCは今回の5年間の投資ロードマップで、途上国の3000万人以上の住民を支援する投資を展開することを強調している。援助ではなく、インパクト投資によって、さらに米国の外交政策と合致する途上国と投資分野に的を絞ることで、米国の投資家と投資先の投資家に投資支援の機会を提供するとしている。

 

 DFCのCEOであるAdam Boehler氏は「今回のDFCの戦略は、世界中のもっとも開発が遅れている地域コミュニティで、もっともインパクトのある事業を創り出すためのロードマップだ。現在、途上国が特に新型コロナウイルス感染拡大で直面している諸課題を解決するための目標を設定するものでもある」と指摘している。

 

 今回、公表された5カ年計画(ロードマップ)は、支援対象となる6つの主要セクターをあげている。①エネルギー②技術・インフラストラクチャー③金融包摂と金融システムの強化④ヘルスケア⑤農業と食糧安全保障⑥水資源と公衆衛生、である。

 

 ①のエネルギー分野では、少なくとも1000万人が利用できる多様な発電施設と送配電設備に投資することで、エネルギーの安全供給と住民のアクセスを拡大する。そのためにDFCは100億㌦を投じる。

 

 ②の技術とインフラ分野では、少なくとも300万人のインターネットアクセスを整備するために、50億㌦を投じる。③の金融分野では1200万人の女性や600万人の限界的な状況に置かれている人々が金融借り入れ等ができるようにする。この分野ではすでに8月に女性支援イニシアティブで60億㌦の投資を公表している。

 

 ④のヘルスケア分野では、低所得国や低中所得国、さらに上位中所得国での貧困地域等での10の新規のヘルスケア設備を支援する事業に30億㌦投じる。同時に60億㌦の民間投資を誘導する。⑤の農業・食料分野では、栄養補給、食料安全保障、農業バリューチェーンの強化等に5億㌦、⑥の水資源や公衆衛生分野では、少なくとも100万人が利用できる安全な飲料水確保や公衆衛生サービス等に2億5000万㌦を供給する。

 

https://www.dfc.gov/media/press-releases/dfc-announces-new-global-development-strategy-catalyze-75-billion-2025