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東電事故から1カ月、英HSBCがブルガリアの“問題原発”のコンサル契約を締結。世界の環境NGOが一斉に注目(BankTrack)

2011-04-13 11:39:10

ブルガリアのBelene原発建設サイト
東京電力福島原子力発電所の事故から1カ月経過した時点で、世界の環境NGOの耳目を集めたのが、ブルガリアで長く論争になってきたBelene原発計画に動きが出たことだ。英HSBCがブルガリア政府との間で、同原発計画のアドバイザリー契約を結んだためだ。

 

ブルガリアのBelene原発建設サイト


BankTrack によると、今回の契約は同計画が投資判断として適しているかどうかの金融的分析が主になるとみられる。Beleneの原発計画は1981年に遡る。同地は、北部ブルガリアのルーマニアとの国境近くのドナウ川沿い。しかし、地震発生の可能性があることと、同国の経済事情、環境NGOの反対等、さらには、1990年の東欧改革で共産党政権が交代したこともあって、92年に建設中断となっている。

その後、現政権が2008年に、中断された建設途上施設の整備に入り、仏BNPパリバを金融コンサルタントとして投資先を探したが、BNPは主要な投資先を見つけることができず、2009年末にコンサル契約を終了している。このためブルガリア政府はロシアの協力を得ようと動くとともに、100%政府保証での建設を計画したが、EUが政府補助金規定に反することと、ロシアの影響力の大きさなどから、取り扱いが注目されている。HSBCは2000年11月に、金融アドバイザーとして契約していたが、今回はさらに進めて、同計画の金融分析を含むコンサル契約を結んだ。ブルガリア政府はHSBCの分析結果を踏まえて、計画推進の是非を判断する予定。

 Belene原発計画は、80年代の計画段階から何度も浮上しては反対運動で消えるという経過を繰り返してきた。このため、NGOの間では“原発ゾンビ”とも呼ばれている。欧米の金融機関や企業これまで多くがかかわってきた。ドイツ銀行、ユニ・クレジット、シティバンク、RWE、E.ON、Electrabelなど。

 欧州の環境NGOはBelene原発計画に強い反発を示してきており、計画に関わろうとしてきたドイツ銀行やHypoVereinsbankなどは、各支店がNGOの反原発キャンペーン攻撃の対象となって、断念するなどの事態も引き起こした。

 詳細な情報は英語版も参照 http://financegreenwatch.org/?p=660