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ドイツの脱原発政策の推進により、同国の電力料金は2018年までに約30%上昇、企業競争力にも影響(Bloomberg)

2011-04-30 22:56:59

Bloombergによると、ドイツ産業連盟(BDI)は独自の分析により、ドイツが脱原発路線を加速させることで同国の電気料金が、現行よりも約30%上昇すると指摘した。すでに決めている8つの原子炉の廃炉と、それ以外の原発についても2018年までに閉鎖すると、ドイツ国内の電力の卸売価格は1メガワットあたり70ユーロまで上昇する可能性があるという。

ドイツは ヨーロッパで最も経済規模が大きくエネルギー消費国であるが、原発の安全性問題を再認識させた日本の原発事故の影響を受けて、原発廃止計画を明確にしている。ドイツ第二の電力会社のRWE AGは、先週、政府の計画通りの脱原発が進むと、よりコストのかさむ火力発電の電力を使わねばならないので、化学や金属などの電力多消費型産業は、割高な電力によって競争力に影響を受ける、と警告した。

こうした追加コストは2020年までに約330億ユーロが発生する見通しで、そのうち、産業や商業部門のエネルギーユーザーは、従来よりも高い電力コストと、二酸化炭素排出権の購入需要の増加との影響で、約240億ユーロを追加負担する見通し。さらに、もし代替エネルギー開発と電力網の開発のための補助金を含めると、この金額は510億ユーロに膨れ上がるだろうと、BDIは指摘している。

ドイツのメルケル首相は、4月15日に、代替エネルギーによる発電を拡大し、電力網を整備、さらに原発をフェーズアウトする計画を6月までに閣議決定すると明言した。ただ、首相は原発をフェーズアウトする具体的な日程は示していない。

今回のBDIの指摘は、原発の廃止による電力不足の約50%が、短期的な他の国からの輸入と、石炭や天然ガス発電によって賄われるとしている。ただ、そうなるとエネルギー産業界の2018年までのCO2排出量は、現行の政府の削減目標よりも約28%多い2億8200万トンになる見通し。