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ドイツ証券のPIP 標的社員に引き継ぎ命令、完了後に退職合意書サイン迫り、拒否しても解雇(My News Japan)

2014-02-14 11:32:29

右は、原告に対するPIP実施時のドイツ証券の社長・デイビッド・ハット氏(就任期間07年5月7日~ 年3月31日、写真は株式会社ヤマトミ公式ブログより)。左は、現社長の桑原良氏(13年4月1日~、写真は日本経済新聞より)
右は、原告に対するPIP実施時のドイツ証券の社長・デイビッド・ハット氏(就任期間07年5月7日~ 年3月31日、写真は株式会社ヤマトミ公式ブログより)。左は、現社長の桑原良氏(13年4月1日~、写真は日本経済新聞より)
右は、原告に対するPIP実施時のドイツ証券の社長・デイビッド・ハット氏(就任期間07年5月7日~ 年3月31日、写真は株式会社ヤマトミ公式ブログより)。左は、現社長の桑原良氏(13年4月1日~、写真は日本経済新聞より)


IBM、マイクロソフト、ブルームバーグと、外資企業ではPIP(パフォーマンス・インプルーブメント・プログラム=成績が不十分な社員の業績向上のための特別プログラム)を活用したクビ切りが普通に行われる。ドイツ証券の社員・杉村太一氏(50代前半、仮名)も、11年12月、突如としてPIPを受けるよう上司に言われた。

だが、その内容は、杉村氏によれば、抽象的な課題を並べられたに過ぎず、その間、後任への引き継ぎ業務をさせられただけだった。その引き継ぎが済むと、会社は退職合意書にサインするよう迫り、杉村氏は拒否。すると会社は「次の段階に進む」と述べ、12年6月に解雇した。納得いかない杉村氏は12年12月、地位確認と慰謝料600万円などを求め、東京地裁に提訴し、現在係争中だ。

 

同社のPIPはどのように遂行されるのか。裁判資料に基づき詳報する。

 




【Digest】 ◇「PIPを受けさせる」 ◇PIP延長で引き継ぎ完了 ◇「業界内の転職なら上司の機嫌損ねるのは得策でない」 ◇退職勧奨に応じないなら会社は次の段階に進む ◇地位確認求め提訴 ◇「外資系の金融業界標準の雇用見直しの基準がある」




 

◇「PIPを受けさせる」

訴状や陳述書などの裁判資料によると、原告の杉村太一氏(50代前半、仮名)は、都内の私大経済学部を80年代半ばに卒業後、米国の半導体メーカーや英米の大手証券会社で働いた後、07年2月にドイツ銀行グループの日本の証券業務拠点であるドイツ証券に入社した。

 

配属先はグローバル・キャピタル・マーケッツ本部の資本市場営業統括部、役職はビジネスマネージャー、職位はディレクター(マネージング・ディレクターに次いで高い職位)だった。

 

同部署は、企業や公的機関に、資産・負債の解決策(ソリューション)などの戦略的提案や、資金調達などのデリバティブ取引等のマーケティング・アドバイザー業務をしている。そのなかで特に杉村氏の職務は、上司である2人の共同統括部長がビジネス拡張のため対外的な時間を割けるように、統括部長の代わりに社内折衝や事務処理を行ったり、部の経費・経営資源(リソース)を管理し、約30人いる部員がビジネスに専念できる環境を提供することなどだった。

 

俸は初年度が約2千万円で、そこから逓増し、約4年の歳月が経過した11年には2,200万円まで上がり、順調な日々だった。こうして11年の年も押し迫った12月21日、突然、異変が起きた。

 

上司である葛西孝明・統括部長兼営業本部長(当時40代前半、仮名)から口頭で、PIP(パフォーマンス・インプルーブメント・プログラム)を受けさせる、と言われたのだ。

 

PIPとは、勤務成績が不十分な社員の成績向上のための特別プログラムという意味だが、杉村氏の見解では、現実にはプログラムが終わると、レビューと称して対象社員の評価が行われ、大抵は成績に向上が見られないとして退職勧奨するのがドイツ証券の常套手段だったという。

 

この日、杉村氏は葛西部長と面談した。その時に話した内容は、13年1月10日付の文書で明文化されている。そこには「パフォーマンスの問題点、求められるアクション、期間」について、以外4点が列記されていた。

 

「1 ビジネスに対する理解 CMTS(※所属部署の略称)のビジネスとりわけ関連する規制の枠組みについて理解を深めること 今後2カ月間」

 

「2 的確性及び精度 マネージャーが貴殿のアウトプットをチェックしなくてもすむように、仕事の精度を大幅に高めること 今後2カ月間」

 

(この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供http://www.mynewsjapan.com/reports/1981