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ロシア政府 飛び地のカリニングラードで計画中だった原発建設を中止 コスト高と住民の反対で(FGW)

2014-04-28 23:10:18

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Kaliniglardthumbimage国際環境NGOのバンクトラックによると、ロシア政府はロシアの原発企業ロスアトムが、欧州でのロシアの飛ひ地であるカリニングラードで計画していたバルチック原発建設計画が放棄されたと公表した。フランスの輸出信用機関の支援を受けて仏銀行ソシエテ・ジェネラルが進めていた同原発への投融資計画も宙に浮くことになる。

 

バルチック原発計画はロスアトムと地元のカリニングラード地方政府が計画したもので、VVER-1200タイプの原発2機を建設するないよう。2016年に一基が、2018年にはもう一基も送電を始める予定だった。発電した電力は、近隣の欧州諸国に売却する計画で、ロスアトムが事業主、フランスの銀行が資金支援という組み合わせ。フランスの関与は、原発技術輸出と金融支援をセットとし、同原発の電力を購入することで、国内の高い原発比率を是正しようという狙いもこめられていたとされる。

 

しかし、同原発計画では、事前の環境アセスメントが杜撰であるほか、緊急対応計画の欠落、廃炉計画も不明、放射性廃棄物の管理計画もお粗末、さらには汚職や地域住人の人権蹂躙などの多くの課題が指摘されていた。さらに当初の建設計画では50~60億ユーロだったが、周辺インフラ整備等で少なくとも30億ユーロが必要になることもネックとなった。

 

周辺国のポーランドやリトアニアからは事故時の対応の不十分さに対する強い懸念が示され低田。特にリトアニアとは国境を経て10kmしか離れておらず、東電福島事故以来、強い反対運動が顕在化していた。さらにロスアトムの杜撰な計画が次第に明るみに出るようになると、カリニングラードのロシア住民からも、強い反発が高まっていた。

 

杜撰な安全管理体制、役人との癒着、原発輸出に伴う利権などの構造は、福島第一原発で露呈したわが国の原発立地各地域が抱える構造的諸課題と極似する。

 

このため、さすがのロシア政府も、ロスアトムに対する支援の放棄をする判断を固めたものとみられる。ロシア政府の判断に対して、フランスFOEなどは歓迎しているが、フランスの各銀行は、同原発以外にもインドの原発計画等世界中で原発ファイナンスを展開しており、FOE等はソシエテ・ジェネラル、BNPパリバ、クレディアグリコなどの活動を引き続きウォッチしていくとしている。

 

http://www.amisdelaterre.org/

http://www.banktrack.org/