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「国連人権指導原則」 銀行の遵守レベル極めて低い。日本の3メガバンクそろって「最低グループ」。みずほが少しだけ「良い」(FGW)

2014-12-03 20:30:58

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banktrack-2国際NGOのバンクトラックは、2001年に採択された国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」を、世界の主要銀行34行が遵守しているかを調べた。もっとも高い評価を得たのは、12点満点のオランダのラボバンク(8点)。全体の平均は3点に対し、日本の銀行は、みずほフィナンシャルグル-プが1.5点で最も良く、三井住友フィナンシャルグループと三菱UFJフィナンシャルグループはともに0.5点だった。

 

調査は、国連原則に沿った4分野(経営方針のコミットメント、手続きのコミットメント、情報開示、救済手段へのアクセス)を選び、それに基づく12のクライテリアで各銀行を評価した。調査は対象となる銀行に対して評価案を提示して銀行側の反論ができる機会も設け、独立の第三者機関による評価プロセスも設定したという。banktrackhumanrightキャプチャ

 

その結果、銀行業界全体では国連人権原則の採択はきわめて「初期段階」との評価となった。人権政策を経営方針として明確化している銀行は、半数だけだった。ランキングで下位になった11の銀行では、評価が零点か、せいぜい1.5点どまりで、日本の3メガバンクはこの「ボトムグループ」に位置付けられた。もっとも低いのは中国銀行、中国建設銀行、中国農業銀行の3中国銀行で、いずれもゼロ点。中国工商銀行だけがわずかに0.5点をとった。

しかし、日本のメガバンクも、大差ない。もっともよいみずほグループが1.5点で、三井住友、三菱UFJは0.5点と、限りなくゼロに近い最低レベルだった。みずほの場合、経営コミットメントとして人権方針を一応、取り入れているとして1点、あとは手続きコミットメントで0.5点を得た。他の日本の二メガは、手続きコミットメントで0.5点を得たのみ。

もっとも高いスコアだったラボバンクは、経営コミットメントで4点、手続きコミットメント3点など、合計8点。ついで、スイスのクレディスイス7.5点、同UBSが6.5点、6点台にはイタリアのユニクレヂット、オランダのING、米シティ、フランスのBNPパリバなどが並んだ。

最低グループには、日中の銀行だけでなく、ドイツ銀行(1.5点)、イギリスのスタンダード・チャータード銀行とHSBCが各1点、米バンクオブアメリカは0.5点だった。

 

国連のビジネスと人権指導原則は、31の「原則(Principles)」に整理されている。「保護、尊重、救済(protect / respect / remedy)」の枠組みは、ハーバード大学のジョン・ラギー教授によって定式化され、「ラギー・フレームワーク」、本指導原則自体も「ラギー・レポート」と呼ばれることもある。

 

http://www.banktrack.org/download/bankingwithprinciples_humanrights_dec2014_pdf/bankingwithprinciples_humanrights_dec2014.pdf