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英HSBC 超富裕顧客の脱税指南に加え アルカイダ系テロ資金提供者も顧客に。「スイスリークス」事件で大揺れに(各紙)

2015-02-11 23:35:13

HSBCキャプチャ
HSBCキャプチャ各紙の報道によると、英金融大手HSBCが富裕層顧客の巨額の脱税をほう助していたことを示す機密文書がインターネット上で公開されるとともに、その顧客リストに中に、国際テロ組織アルカイダの資金提供者とみられる人物がいた可能性が明らかになった。同行のガバナンス体制の汚点と、リスクマネジメントの欠陥が露呈した形だ。

 

ネットで機密文書が公開されたことで、欧州では通称「スイスリークス(SwissLeaks)事件」と呼ばれ、大きな話題を集めている。テロ資金との関連性については、11日付の仏紙ルモンドが報じた。このスキャンダルで暴露された極秘ファイルには、200以上の国・地域の約10万人に上る顧客がリストアップされている。

リストの中には、著名人や武器商人とみられる人物、政治家などの名前も含まれているという。リストに名前が載った人物がすべて不正行為に関与したとは限らない。しかしルモンドによれば、この中に「黄金の鎖」と呼ばれるアルカイダへの資金提供者メンバー数人の名前が含まれていた。
文書はHSBCでIT担当だったエルベ・ファルチアニ(Herve Falciani)元社員が2007年に多数のファイルを盗み出し、フランス当局に提出していた。このファイルが一般公開されたのは今回が初めて。同文書によると、HSBCのスイス部門が200か国以上の顧客の脱税をほう助したとされる。それらの顧客の口座残高の総額は1190億ドル(約14兆円)に上る。
国際調査報道ジャーナリスト連合(International Consortium of Investigative Journalists、ICIJ)はこれらのファイルを仏紙ルモンド(Le Monde)経由で入手し、世界中の45社を超えるメディアに提供した。リストに記載されていたアルカイダ系の一部メンバーについては、過去に名前が報じられており、HSBC側がテロ支援者が顧客にいるのを認識しながら、対策を講じなかった疑いもある。

 

このため、英議会がHSBCの担当者への聴取を検討するなど、真相解明の動きが出ている。ICIJは、「HSBCは、アフリカで迫撃砲弾を少年兵らに運ぶ武器商人や第三世界の独裁者の金庫番、『紛争ダイヤモンド』の密売人、その他の国際犯罪者らと取り引きを行って利益を得ていた」と伝えた。


ファイルには、ロシアやインド、アフリカ諸国の元職や現職の政治家、サウジアラビア、バーレーン、ヨルダン、モロッコの王族、さらにはオーストラリアのメディア王だった故ケリー・パッカー(Kerry Packer)氏の名前も含まれている。
ファイルは、脱税者らの摘発のためフランス政府によって活用され、2010年に他国の政府とも共有された。これによって一連の訴追につながった。英税務当局は9日、これらのファイルに基づいて1億3500万ポンド(約240億円)以上の税収があったと発表した。

http://www.icij.org/