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年末発足のアジア投資銀行(AIIB) 初代総裁・金立群氏が「初年度の融資規模20億㌦(2400億円)」「日米の参加なくても大丈夫」と強調(各紙)

2015-10-22 22:02:26

AIIBkin2キャプチャ

 各紙の報道によると、中国が設立を主導しているアジアインフラ投資銀行(AIIB)の初代総裁に内定している金立群氏が米ワシントンで講演するともに、毎日新聞のインタビューに応じ、「初年度に20億㌦(約2400億円)の融資が可能」との見通しを語った。

 金氏は中国の元財政次官。世界銀行に勤務した経験があるほか、アジア開発銀行(ADB)の副総裁も務め(2003-2008年)、中国の中では国際金融通として知られる。中国の推薦でAIIB初代総裁に内定している。

 

 同氏は21日、訪問先のワシントンでシンクタンク、ブルッキングス研究所で講演、「AIIBは世界銀行などの既存の国際機関のライバルとなるものではない。米国のもドアが開かれている」とアピールした。また、最初の融資案件は、世銀との協調融資なども含め「一つではなく、複数になるだろう」と指摘した。

 

 毎日新聞との個別インタビューでは初年度の融資規模を20億㌦と示したが、その規模はADBの年間の融資承認額の10分の1程度と小ぶり。ただ、「アジアのインフラ需要は巨大」との認識を強調し、2年度目以降の融資拡大への意欲を示したという。また他の国際公的金融機関との協調融資などで巨額の資金需要に応える姿勢を示した。

 

 さらに「量よりも質が重要」として、事業内容を精査するなどして慎重に融資対象を選定する考えも表明した。これはAIIBが中国の政治的影響力を拡大するために、経済原則を無視した資金のバラマキを展開するのでは、との憶測に対する反論でもある。

 

  講演では、AIIBの運営について「クリーンかつグリーン」な運営を目指すとし、職員による汚職防止や、インフラ関連の投融資に際しては環境への影響も最大限配慮する立場を強調した。同氏はこうした方向性を「21世紀型の統治を目指す」と語った。また「AIIBは中国の銀行ではない」とも述べたという。中国内部で蔓延している汚職構造との線引きを意識したものとみられる。

 

 設立には、英国やドイツなどの先進国と新興国を合わせて57カ国が参加表明し、年内に立ち上がる予定。日米やカナダなどは「融資基準などに懸念がある」として、現在までのところ参加表明を見送っている。同氏は毎日の取材に対して、AIIBの最終的な参加国数が「70カ国を超える」と見通したうえで、「日米が参加しなくても心配はしておらず、参加国は金融的にも経済的にも力を増していくだろう」と語った。