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欧州の社会的責任投資フォーラム(EUROSIF) 組織のミッション、目標も見直し。新たな戦略へ切り替え。欧州の政策当局との連携強化へ。ESG関連非営利組織間の重複感、競合感が背景に?(RIEF)

2016-06-17 23:31:11

Eurosifキャプチャ

 

  欧州の社会的責任投資(SRI)の普及を進めてきたEurosif(欧州持続可能投資フォーラム)は、組織改革の実施と新たな戦略として、欧州の持続可能な責任投資市場の発展・促進を、活動の最優先とすることを決めた。特に政策当局とのつながりの強化を重視している。

 

 Eurosifは、株投資に際して、経済価値だけでなく、環境・社会・ガバナンス(ESG)を評価するSRI投資を促進する活動を展開している。この基本的な活動の柱は変えない。ただ、従来は市場で活動する機関投資家への働きかけが中心だったが、市場と同時に、政策への働きかけのウエイトを高める。

 

 新たな組織目標の優先事項には、ベストプラクティスの普及、政策実現のロビー活動、欧州全域のメンバー間での協力と支援、そして持続可能な投資市場の理解と研究を促進する、という諸点をあげている。

 

 Eurosifの見直しは、昨年12月にFlavia Micilotta 氏が新たに代表理事となって以来、組織をあげて取り組んできた。理事会は今回の改革案を全面的に受け入れ、組織のミッション、目標についてもすでに新戦略に基づいて改めている。

 

 組織改革の狙いは、Eurosifが欧州での政策立案環境の中心にとどまることを明確にし、さらに各国にあるSIFの会員価値を高めるようなプロジェクトを発展させるとしている。こうした組織見直しの背景には、パリ協定の成立を受けて、ESGの活動が金融市場との連携の強化が求められ、欧州で複数並立してきたESG関連の公的団体、非営利団体等の活動の重複感、競合感が顕在化していることがあるようだ。

 

 たとえば、年金基金等の機関投資家のESG投資を推進する国連責任投資原則(PRI)、金融機関のESG活動を後押しする国連環境計画(UNEP)金融イニシアティブ(FI)と温暖化対応の金融活動に特化したUNEP Inquiry、NPOで温室効果ガス排出量の情報開示活動を展開するCDP、そしてEurosifである。

 

 またESG要因を評価する金融行動についても、従来からのSRIに加えて、債券活用のグリーンボンドやグリーンファンド、インデックスなど多様に展開しつつある。これらのことはESG投資やサステナブルファイナンスの発展でもあるが、これまで役割分担してきた複数の活動団体の活動範囲があいまい化、重複化する事態にもつながっている。

 

 今回のEurosifの組織見直しも、伝統的なESG投資促進の旗印を維持しながら、より幅の広いグリーンファイナンスなどへの欧州各国の政策対応に対してEurosif自体が今まで以上に影響力を及ぼしていこうという狙いが込められているとみられる。

 


   戦略見直しを手掛けてきた代表のFlavia Micilotta氏は「過去7カ月にわたって、われわれはEurosifの再組織化を具体化し、かつ政策当局者との連携のさらなる強化に努めてきた。今回の改革を踏まえて、11月に7回目となる欧州のSRI研究をまとめる予定だ」と説明している。

 

 
 改定された新ミッションは「Eurosifは加盟機関の利益を向上させることを目的とした、欧州全域での持続可能な責任投資の促進と進歩のためのリーディング団体」と位置付けている。「リーディング」に力が込められている。



 組織の新たな目的として6項目を掲げた。①加盟団体に資するために、SRIのベストプラクティスを促進する②SRIの発展支援するための欧州の規制や法令へのロビー活動③加盟機関の持続可能な責任投資ビジネスの発展を支援④欧州各国に存在するSIFの間の発展と協力を促進する⑤欧州でのSRI市場で起きる発展やトレンドの研究分析を提供する⑥欧州の資本市場を通じたSRIへの需要の増加と認識を高める――という内容だ。

 

 

http://www.eurosif.org/wp-content/uploads/2016/06/15-June-New-strategic-direction-in-place-for-Eurosif.pdf

http://www.eurosif.org/