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環境NGO4団体 米欧主要25銀行の「化石燃料ファイナンス度」を評価・格付け。日本の銀行は?(RIEF)

2016-06-20 15:19:32

bankTrack2キャプチャ

 

  国際環境NGO4団体が、欧米の25の主要銀行を対象に、化石燃料事業への投融資状況を評価、格付けした「化石燃料ファイナンス・レポート」をまとめた。その結果、石炭関連投融資が最も多い「石炭バンク」として、Citigroupと Bank of Americaが、環境への影響がひときわ大きい「Extreme石油・ガス」ではJPMorgan Chase、Barclays、 Bank of Americaがそれぞれ名指しされた。

 

 レポートをまとめたのはBankTrack、Rainforest Action Network(RAN)、Sierra Club、Oil Change Internationalの各団体。いずれも金融機関に対して環境配慮の投融資を求める活動を展開しており、今回が7回目の共同レポートの公表だ。今回の評価対象は欧米金融機関だけだが、日本勢についても評価をしてもらいたいところだ。

 

 4団体は、従来も石炭鉱山と石炭火力向けの投融資を評価してきたが、今回はタールサンドや深海底掘削、北極海開発などを対象とする「Extreme 石油・ガス」のほか、LNG輸出、人権も加え、5分野を評価した。各分野での環境・社会配慮の取り組みなどを評価して最高位のA+から落伍扱いのFまで、格付けした。

 

 たとえば石炭鉱山向け開発投融資では、Citigroup,Bank of Americaなど9行が最高位のB-を得た。いずれも昨年、パリ協定を睨んで、石炭鉱山への投融資を、通常の融資業務の対象外とすると宣言したことが評価されたとみられる。ただ、石炭火力向けでB-を得たのは英Royal bank of Scotland(RBS)だけ。他の分野ではB格の銀行は見当たらない。http://rief-jp.org/ct6/55284

 

banktrackキャプチャ

 

   CitiやBoAは石炭鉱山向けでB-を得たものの、石炭火力向けではそれぞれD+とDと評価は低く、かつグローバル金融機関だけに投融資額が大きいことから、「コール・バンク」の栄冠(汚名)を得た。石炭火力向けではフランスのBNPパリバとBPCE/Natixis、英国のRoyal Bank of Scotland(RBS)がともにB-と評価された。それ以外のExtrene 石油、LNG輸出、人権の3分野ではCが最高で、大半がDレベルかFの格付けで、欧米金融機関のESG取り組みもNGOの視点からは不十分な状況であることが浮き上がった。

 

 レポートは「主要銀行は引き続き、化石燃料関連の融資を通常業務『Business-as -usual(BAS)』として取り組んでいる」と批判している。また25銀行全体の人権分野を除いた化石燃料投融資4分野への投融資総額は約8000億㌦(約88兆円)に達している。

 

  BankTrackの気候エネルギー分野のコーディネーターであるYann Louvel氏は「もし、これらの銀行が今後も化石燃料関連の投融資を続けるならば、彼らはいずれも気候変動と闘うとか、パリ協定を支持するといった主張をすることはできない」と指摘している。

 

https://d3n8a8pro7vhmx.cloudfront.net/rainforestactionnetwork/pages/15942/attachments/original/1466017620/RAN_Report_Shorting_the_Climate_2016.pdf?1466017620

http://www.ran.org/shorting_the_climate