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世界の主要銀行45行の人権対応評価。半数以上が「落伍」レベル。日本の3メガバンクも同様。銀行の人権対応の遅れを浮き彫りに。環境NGOのBankTrackが調査(RIEF)

2016-07-05 22:23:02

banktrackキャプチャ

 

 環境金融NGOのBankTrack(本部・オランダ)は日本の3メガバンクを含む世界の45銀行の人権対応を評価・点数付けした調査結果を公表した。それによると、日本のメガバンクを含めて半数以上の銀行が、人権デューデリジェンスをほとんど考慮していない「落伍者(laggards)」の評価となった。

 

 BankTrackの人権報告は、国連が2011年にまとめた「ビジネスと人権に関する国連フレームワーク(Guiding Principles on Business and Human Rights)」に沿って、政策、デューデリジェンスのコミットメント、報告、救済策へのアクセスの4分野で12項目のクライテリアを設定、点数化したもの。

 

 BankTrackは、2014年12月に初めて主要銀行の人権対応を評価した。今回はその二回目。評価は、点数が0~3ポイントだと「落伍者(laggards)」、3.5~6ポイントが「追随者(followers)」、6.5~9ポイントが「先行者(front runners)」、9ポイント以上が「真のリーダー(true leaders)」という4段階の区分。

 

 その結果、「落伍者」は45行中、半数以上の24行となった。また、「追随者」は13行、「先行者」は8行。最優良の「真のリーダー」は前回同様、不在のまま。12点満点での45行平均のスコアは、3.4。継続比較が可能な30行ベースでは前回が2.9、今回が3.6で幾分は改善している。

 

 前回の調査も受けた30の銀行を比べると、15の銀行のスコアが改善、悪化したのは2行にとどまり、他の13行は横ばい。一応、改善傾向となっている。最高ポイントはオランダのラボバンクの8点だった。

 

 また先行者グループに入ったのは、ラボバンクのほか、Citi、ANZ、英バークレイ、BNPパリバ、クレディスイス、ドイチェ銀行、UBSの8行。

 

 日本のメガバンクは3行とも、落伍者グループに分類された。3行とも点数は低く、最も高かったのがみずほFGの3ポイント、三井住友FGは0.5ポイント、三菱UFJFGはゼロ。前回調査からの推移をみると、みずほは前回より1.5ポイントの低下、三菱UFJFGは前回は0.5ポイントだったが、今回はその分を削られ、ゼロとなった。三井住友FGは変わらず。

 

 

 日本のメガバンクと同じ「落伍者」ランクにはGoldman Sachs、 HSBC、ソシエテ・ジェネラル、クレディ・アグリコ、モルガンスタンレー、スタンダード・チャータード、バンク・オブ・アメリカなどが名を連ねている。また中国の中国銀行など4行もそろって「落伍」ランク入りした。

 

 報告書は特に、国連原則が求める要請に、調査の対象となった銀行のすべてが対応できていない3つの特徴を指摘している。

 

 まず一つは、どの銀行も、人権デューデリジェンスにおいて、潜在的に人権被害を受けそうな人々と、どう話し合うのかという方法を示していない。

 

 第二に、銀行が公表している人権レポーティングの内容は、その銀行が人権問題にどう対応したかを、外部の人間が評価するには不十分で限定的なものにとどまっている。

 

 第三に、どの銀行も、効果のある苦情メカニズムの設置や、参加するための条件を満たしていない。

 

 BankTrackの人権担当キャンペーン担当のRyan Brightwell氏は「国連のGuiding Principles は、国連加盟国の企業に求められる基本的な行動規範。しかし、同原則が採択されてから5年が経過しているが、銀行部門での対応は極めてレベルが低いと言わざるを得ない」と指摘している。

 

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http://www.banktrack.org/ems_files/download/5412388/banking_with_principles_june2016update.pdf