グローバル市場のグリーンボンド発行額 先週までで昨年1年間の実績を上回る。482億㌦に。中国物が全体3分の1を占める(RIEF)
2016-07-27 15:26:54
グローバル市場で今年発行のグリーンボンドの発行額が先週発行分で、合計482億㌦となり、昨年1年間の発行総額を早くも上回った。発行額の約3分の1は中国企業・金融機関で占められている。
先週末、中国の民間銀行の中国興業銀行(CIB)が200億人民元(約30億㌦)、同じく上海浦東開発銀行(SPDB)が150億人民元(同22億5000万㌦)をそれぞれ発行した。これによって、一気に昨年の発行額(434億ドル)を超えた。
CIBは今年の初めにも100億人民元(約15億㌦)のグリーンボンドを発行しており、二回目となる。今回は期間3年の短期もので、クーポンレートは3.2%。発行額のうち26%はCCSや省エネ設備などを備えた石炭火力発電所向け融資(Clean coal)に活用される見通し。
中国人民銀行が昨年末に定めた国内グリーンボンド基準(後述)によると、Clean coalはグリーンボンドの資金使途対象とするClean Energyに含まれるとしている。引き受け主幹事は中国工商銀行、中国銀行、中国建設銀行、中国農業銀行の4国営銀行が務めた。
一方のSPDBの発行は今年3回目。期間5年もので、クーポンレートは3.4%。これまでの発行額は1月が200億人民元、3月が150億人民元で、今回のものと合わせると合計500億人民元(75億㌦)で、今年最大の発行体となる。引き受け主幹事は、中国国内のCIC(中国投資)、Guotai(国泰君安), Haitong (海通国際)、 Huatai(华泰证券)の各民間証券各社が担当した。
先週には、別の民間銀行である南昌市のJiangxi Bankも、50億人民元(7億5000万㌦)のグリーンボンドを発行している。 同銀行の発行分は3年ものと5年ものの2本で、クーポンレート 3.41% と3.7%になっている。この結果、今年の中国の発行グリーンボンド額は全体で177億㌦に達した。
7月のグローバル市場でのグリーンボンド発行はすでに、120億㌦に達している。今年の第2四半期は全体で180億㌦の発行となり、四半期ベースでは過去最高だったが、今月は一ヶ月だけでその6割以上の発行額となっている。第3四半期は過去最高の発行額となる可能性はきわめて高くなってきた。
ただ、今回のCIBの資金使途にClean Coalが入ったように、国際的にはグリーンボンドの使途対象には含まれない石炭火力を含めるなど、「中国流」の拡大解釈への批判もある。今回の場合も実際にはコストの高いCCSの併用を念頭に置いているとは思えず、中途半端なClean coalになるリスクがある。
英Climate Bonds Initiativeでは「どんな形であれ、石炭はグリーンボンドの定義には含まれない」と指摘している。CEOのSean Kidoney氏は、「CIBのボンドは中国人民銀行の基準には適合する。しかし、われわれはグリーンボンドの範囲には含めない」と評価している。
中国人民銀行が定める国内向け基準では対象事業は①Energy savings(省エネ)②Pollution prevention and control(汚染予防と抑制)③Resource conservation and recycling(資源保護とリサイクル)④Clean transportation(低公害輸送機関)⑤Clean energy(クリーン・エネルギー)⑥Ecological protection and climate change adaption(生態系保護と気候変動の適応策)--などとなっている。
http://www.cib.com.cn/cn/minipage/financial/index.html