HOME6. 外国金融機関 |世界銀行などの6つの国際公的金融機関 2015年中に気候変動対策に途上国に投じた資金総額810億㌦(8兆5000億円)。レバレッジ効果合わせ。個別国資金や民間資金なども動員(RIEF) |

世界銀行などの6つの国際公的金融機関 2015年中に気候変動対策に途上国に投じた資金総額810億㌦(8兆5000億円)。レバレッジ効果合わせ。個別国資金や民間資金なども動員(RIEF)

2016-08-16 18:46:37

MDB1キャプチャ

 

  世界銀行などの6つの国際公的金融機関(MDBs)が2015年に資金供給した気候変動対策の資金規模が250億㌦だった。同資金のレバレッジ効果で民間資金や個別国資金など、倍以上の560億㌦分を稼働させ、合計、810億㌦(約8兆5000億円)の資金が気候変動市場に流れ込んだことが分かった。

 

 6機関が気候変動対策に投じた直接資金は、2011年以来、1310億㌦に達している。対象となった国際公的金融機関(MDBs)は、世界銀行グループのほか、アジア開発銀行(ADB)、アフリカ開発銀行(AfDB)、欧州投資銀行(EIB)、欧州復興開発銀行(EBRD)、米州開発銀行(IDBG)の6機関。対象資金は各機関による贈与、投融資、信用保証等を含む。

 

 金融機関別では、国際金融公社(IFC)などを含む世界銀行グループが最も多い107億㌦、次いでEIBの51億㌦、EBRDの32億㌦、ADBの29億㌦となっている。

 

 2015年の250億㌦の資金のうち、 200億㌦は、再エネ発電や省エネなどのCO2削減の緩和対策に投じられ、50億㌦は気候変動に耐久性のある土地利用計画の推進や、水資源管理などの適応対策に投じられた。

 

 MDBsの資金が集中したのは、欧州連合(EU)を除く欧州地域と中央アジアで全体の20%の資金が投じられた。次いで南アジア地域が19%、中南米とカリブ海諸国が15%、EUの新規加盟国(バルカンや東欧諸国)14%、アフリカのサブサハラ、中東、北アフリカ9%などの割合。

 

 資金の使途別では、温暖化への適用対策で、もっとも多額の資金が振り向けられたのは、水資源管理・下水道管理システムの整備(27%)。次いで、エネルギー・輸送。関連インフラ(24%)、穀物・食糧生産(18%)と続く。緩和対策では、再生可能エネルギー発電(30%)、低炭素輸送システム(26%)、省エネなどのエネルギー効率化(14%)となっている。

 

 MDB2キャプチャ

 

     今回の報告では、MDBsがレバレッジ効果を発揮して、個別国や他の国際金融機関、民間金融機関等と、Climate-Co-finance(CCF)機能を発揮した点も強調されている。年間のCCF資金量はネットで557億4900万㌦と、MDBs6機関の総直接資金量を倍以上上回った。

 

 連携した金融セクター別にみると、ODAでの贈与資金を供給する個別国とのCCFが286 億200万㌦と最も多く、ついで、資金を享受する国の政府・政府機関が137億9400万㌦、民間金融機関が109億4100万㌦などとなっている。報告ではMDBsの「触媒」としての役割が発揮された、と評価している。またMDBsはそれぞれグリーンファイナンスの資金調達手段として、グリーンボンドの発行を増やしており、資金使途や資金管理プロセス等の共通化も進めている。

 

http://www.eib.org/attachments/documents/joint_mdb_report_on_mitigation_finance_2015.pdf