HOME11.CSR |国連の「持続可能な証取イニシアティブ(SSE)」参加証取、60に達する。シドニー証取(豪)が参加表明で。ESG情報開示促進と上場企業の実践を証取が後押し。東証などの日本勢はここでも出遅れ(RIEF) |

国連の「持続可能な証取イニシアティブ(SSE)」参加証取、60に達する。シドニー証取(豪)が参加表明で。ESG情報開示促進と上場企業の実践を証取が後押し。東証などの日本勢はここでも出遅れ(RIEF)

2016-09-24 22:36:16

SSX1キャプチャ

 

 国連が推進する「Sustainable Stock Exchange(SSE)イニシアティブ」に、オーストラリアのシドニー証券取引所が参加した。SSE証取としては60番目。SSEは持続可能な投資を促進し、情報開示を高め、ESG(環境、社会、ガバナンス)課題を達成することを目指している。日本の東京証券取引所などの参加の動きは感じられない。

 

 シドニー証取は、SSEに参加した最初のオーストラリアの証取となった。同証取に先立って、今月6日にシンガポールで開いた2016 SSE Global Dialogueにおいて、シンガポール証券取引所もSSE参加を表明した。

 

 シドニー証取の副会長のGeorge Wang氏は「われわれは、倫理的で、透明で、持続可能性の高い市場づくりに貢献していく。オーストラリア、さらにアジア全体で、持続可能な投資戦略と実践は、次第に重要性を増している」と、SSE参加の意義を強調した。

 

  SSEは2009年、国連の貿易開発会議(UNCTAD)、Global Compact、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)、国連責任投資原則(PRI) の共同活動としてスタートした。上場企業のESG情報開示と、各企業のESG業績向上の促進を目指している。各証取の上場基準に持続可能性の業績と戦略についての情報開示条項を盛り込むことなどを求めている。

 

 現在の参加証取には、米国のニューヨーク証取のほか、Nasdaq、英国のロンドン証取、フランスのEuronext Paris、ドイツのDeutsche Börse などの主要証取のほか、途上国の証取も名を連ねている。アジアでは、シンガポールのほか、タイ、ベトナム、マレーシア、韓国などが参加しているが、日本と中国は加わっていない。

 

 東証は「なでしこ銘柄」を選定するなど、ESG情報の評価に取り組んでいるが、気候変動リスクなどの環境面の要素を上場基準に反映させる動きには慎重だ。しかし、アジアでもSSE参加が一つの「標準」になりつつある。欧米の機関投資家などから、東証の未参加は、日本企業のESG対応が不十分であることの反映とみられているかもしれない。

 

 国連グローバルコンパクトのDeputy DirectorのGavin Power氏は「昨年、採択した持続可能な開発目標(SDGs)とAgenda 2030を推進するためには、民間セクターの金融と投資が中心的役割を果たさねばならない。これらの新しいアジェンダは金融コミュニティが『positive impact』な金融に転換するきっかけとなるだろう」と指摘している。

 

写真は、SSE参加を表明するシドニー証券取引所の幹部たち)

http://www.sseinitiative.org/about/concepts/