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OECD 日本で初の国際規模の環境金融会議開催、玉木事務次長「グリーンボンドは今後20年間に10倍増以上」と予測(RIEF)

2016-10-14 02:23:39

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  OECD(経済協力開発機構)は13日、東京で初のGIFF(Green Investment Financing Forum)を開催した。玉木林太郎OECD事務次長は「パリ協定の2℃達成を実現する投資シナリオを想定すると、グリーンボンド発行額は今後20年間に10倍増以上となる」との推計を示した。

 

 OECD主催のGIFFは今回が3回目。日本で国際規模の環境金融イベントが開かれたのは初めて。OECDはGIFF開催に合わせて、グリーンファイナンスとグリーン投資に関する知識普及や、低炭素、気候変動に強いグローバル経済実現のため、「グリーンファイナンスと投資のためのOECDセンター」を立ち上げた。

 

 会議の冒頭で玉木事務次長は、京都議定書が署名から発効までに8年かかったのに比べて、パリ協定が1年以内に発効することを評価。「協定は今世紀後半には、温室効果ガス排出量をネットゼロを達成することが長期的な目標だ。その達成のために、電力、産業、輸送、建物、土地利用のシステマチックな変革が必要」と指摘した。

 

 また、イングランド銀行総裁のMark Carney氏が気候変動が引き起こす3つのリスクとして、物理的リスク、訴訟リスク、移行リスクをあげたことを受け、「金融機関と投資家はこうしたリスクを内部化する必要がある」と位置付けた。そしてこうしたリスクを統合して投資機会にするには、「気候変動に関連した金融リスクの情報開示が重要」と述べた。「(リスクを)測れないと、(リスクを)マネージできない」

 

 こうした点で金融の役割が期待されるが、現状は、「ESG要因を、自らのガバナンスにシステム的に統合している機関投資家などは少数にとどまっている」と認め、金融市場をグリーン投資に向かわせる施策の必要性を指摘した。

 

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  投資家の予測可能性を高める施策としては①カーボンへの価格付け策②化石燃料への補助金の廃止③低炭素化するインフラ建設のロードマップの作成ーーなどを示したほか、④グリーンボンドなど金融商品の活用で市場機能を高める⑤市場の透明性と標準化の促進⑥内外の公的金融機関が民間の金融をリードする⑦国内でグリーン事業を推進する「グリーン投資銀行」の設立案にも言及した。

 

 グリーン事業に投融資資金を供給するグリーンボンドの発行額は、本年すでに500億㌦を突破、700億~1000億㌦になるとみられている。玉木氏は、グリーンボンドを分析した最近のOECD報告書を踏まえ、パリ協定の2℃上昇シナリオを実現するには、今後20年間にグリーンボンドの発行規模は現状の10倍以上に膨れ上がると指摘した。

 

 再エネ、省エネ、エコカーなどの投資のために発行されるボンドは、2030年までに米、欧、中国、日本の4大市場で、年間6200億㌦~7200億㌦の規模に達する潜在力があるという。「そうなると、2030年までに世界のグリーンボンドの市場価値(時価)は5兆㌦を超える」との予測も示した。

http://www.oecd.org/environment/cc/2016-green-investment-financing-forum.htm