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三菱商事、アイルランドの独立系電力取引企業に過半数出資。国際的電力取引ビジネスに本格参入(RIEF)

2016-10-15 23:23:17

ER1キャプチャ

 

 三菱商事が、欧州の電力取引市場に参入する。アイルランドで電力取引業務を手がけるベンチャー企業のエレクトロルート(ElectroRoute:ER)の株の6割を取得することで合意した。取得額は公表していないが、数十億円の見込み。

 

 ER社は2011年に現CEOのRonan Doherty氏ら4人がアイルランド・ダブリンに設立した独立系のベンチャー電力トレーディング企業。社員は現在は40人強に増えている。

 

 事業の提供先も、アイルアンド、英、独、仏、イタリアなど欧州8か国に広がり、電力スポット・先物・国際間取引、グリーン証書取引等のトレーディング事業、発電者や需要家向けの総合的な電力取引支援サービス事業などを手掛けている。

 

 欧州諸国では、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギー発電が普及しているが、これらの自然エネルギー発電では、日照や気象条件によって発電量が変動する。ER社はこれらの事業者に対して、火力発電等で調達した電力を組み合わせて、提供する支援サービスなどを展開している。

 

 三菱商事は欧州・中東地域で電力事業を展開する100%子会社の英国法人ダイアモンド・ジェネレーティング・ヨーロッパ社(Diamond Generating Europe:DGE社)を通じて、ER社の株式を取得した。

 ER社は三菱商事の資金支援を受けて、今後、サービス対象地域を広げ、国際取引を拡大していく。三菱商事自体も、今後拡大が見込まれる電力トレーディング事業や総合的な電力サービス事業に新規に参入し、同機能を強化するとしている。同社が運営する電力資産は現在、600MW。

三菱の支援を受けて、近くアイルランド以外の拠点として、英国に初のオフィスを開設するなど国際展開を進める。

 ER社のDoherty氏らの現経営陣は、三菱商事の傘下に入った後も引き続き全員残留し、経営を担当していく。Doherty氏は「三菱商事のような大規模な商社が、われわれを評価してくれたことは、ER社のビジネスモデルが承認されたといえる。今後、三菱の支援を受け、国際的なエネルギー市場での基盤を強化できると思う」と述べている。

ER社は、アイランド政府が同国企業の世界市場進出を支援するための企業、Enterprise Irelandとアイランド中央銀行などが設立したIreland Start up and Emerging Sectors Equity Fundによって、創業支援されてきた。同ファンドは アラブ首長国連邦(UAE)のDelta Partnersが運営している。