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フランス銀行協会 グリーン貸出債権の必要自己資本比率の緩和・支援策を、欧州金融監督当局に要請(RIEF)

2016-10-17 00:12:16

FBFキャプチャ

 

 フランスの銀行協会(FBF)は、欧州委員会の 欧州銀行庁(EBA)などの金融監督当局に対して、再生可能エネルギー等などのグリーンプロジェクト向けの貸出債権について、自己資本の配分を減額するよう要請した。

 

 英環境専門メディアが報道した。FBFは、こうした提案を「Green Supporting Factor (GSF)」と呼び、気候変動リスクの発生確率を低下させるグリーン貸出債権の増加は金融システム全体のマクロ・プルーデンス政策の改善にも資する、と指摘している。

 

 FBFの銀行監督担当局長のBertrand Lussigny氏によると、EUの銀行向け自己資本規制では、中小企業(SME)向け融資に対しては、通常の必要自己資本より緩和した76%分での対応を認めている。FBFはグリーン貸出債権についても同様の対応を求めた。

 

 来月に予定されるパリ協定の発効によって、先進国だけでなく途上国でも、再生可能エネルギー事業や、エネルギー効率化事業等のグリーンプロジェクトの資金需要増が、今後期待される。Lussigny氏は「脱炭素化への転換をスムーズに進めるためには、膨大な民間資本の活用が必要で、グリーン貸出を政策面から後押しする必要がある」と指摘している。

 

 国際的な金融安定理事会(FSB)は現在、主要産業が抱える温暖化リスクがグローバル金融にとってのシステムリスクに転じないよう、情報開示を促進する作業部会の作業を進めている。FSBの作業は、金融機関が温暖化リスクに適切に対応することが主だ。

 

 ただ、FBFが主張するように、銀行などの金融機関による温暖化対応のグリーン事業への資金供給を政策支援することは、温暖化リスクの軽減と同時に、グリーンプロジェクト市場をグローバルに拡大し、各国の成長戦略に資する期待もある。

 

 FBFが提案するGSFでは、グリーン貸出かどうかの評価について、英CBIのクライテリアや、仏政府によるTransition Energétique et Ecologique pour le Climat (TEEC)などのラべルの付与で選別する考えという。

 

 現時点では、EUの公式な反応は不明。関係部局の内部評価としては消極的という。しかし、仮にEUが、グリーン貸出債権のリスクウェイトを軽減する措置をとると、バーゼル規制との整合性から、日本の金融機関にも影響しそうだ。

 

 グリーンボンドなどを推進している英Climate Bonds Initiative(CBI)代表のSean Kidney氏は「この案は、成長を回復させる唯一の方法だ。全資源の生産性を改善することがカギであり、金融機能を使って、CO2排出量を削減することが経済成長の促進につながるだろう」と、FBFの提案を支持している。

 

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