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スウェーデン グリーン国債(ソブリン・グリーンボンド)発行を検討へ。財務大臣が明かす。グリーンボンド市場の安定にも資する(RIEF)

2016-10-22 10:56:37

swedenキャプチャ

 

 スウェーデンが「グリーン国債(ソブリン・グリーンボンド)」発行を検討していることがわかった。財務大臣のPer Bolund氏が語った。同国はグリーンボンドを世界で最初に発行した国であり、グリーン国債についてもリーダーシップを発揮したいとしている。

 

 英情報サイト、Responsible Investorが報じた。Bolund氏は同国のグリーン党党首で2014年10月から、社会民主党との連立政権の財務大臣を務めている。

 

 同氏によると、 グリーン国債の資金使途は、政府保有の再生可能エネルギー会社への投融資や、高速鉄道網などの気候変動対策事業のほか、生物多様性ベンチャーや他の有害物質削減事業などにも充当することを考えているという。

 

 グリーンボンドはスウェーデンの大手銀行SEB(Dkandinaviska Enskilda Banken)が2007/8年に世界銀行と共同発行したのが最初とされる。Bolund氏は、この点を指摘、「われわれは引き続き、グリーンボンド開発の最前線に立ち続けたい」と述べた。

 

 グローバルなグリーンボンド市場は今年、すでに昨年の発行実績を上回り、700億~1000億㌦に達する勢い。これに、グリーン国債の発行が加わると、市場の厚みが増すことが期待される。

 

 ただ、現在のスウェーデンの予算法制では特別の事業や活動のためだけの資金集めは制限されている。Bolund 氏は「われわれは、このパズル部分を解かねばならない。だが、それを克服する強い支持がある。グリーン国債を発行することには民間のグリーンボンド発行体や市場関係者の強い期待があり、市場拡大に貢献する」と意欲を示した。

 

 グリーン国債の発行案は、スウェーデン以外でも浮上している。ナイジェリアの証券取引所関係者は、西アフリカ初のグリーンボンドを国債として発行する案を提唱、ケニア政府も同様の案を模索中とされる。いずれもパリ協定に基づく自国のCO2削減目標達成のための資金調達手段として位置づけているようだ。フランスや中国、バングラデシュなどでも検討中。

 

 Bolund氏はさらに、スウェーデン政府として、グリーンボンドの品質を保証するような役割を果たすことも目指したいと述べた。市場の拡大とともに、国内向けの“緩い”基準による発行が一部の国で起きており、グリーンボンド市場全体への懸念につながるリスクも指摘されているためだ。

 

 グリーンボンドの国際標準としては、民間金融機関が自主的に作成したグリーンボンド原則(GBP)のほか、英非営利団体のClimate Bonds Initiative(CBI)がボンドの資金使途対象となるグリーン事業のクライテリアを公表しているが、いずれもまだ市場標準として定着しているわけではない。

 

 こうした中、国内の投資市場向けに中国とインドが国内ガイドラインを作成している。また日本の環境省も国内ガイドライン作りを目指していると報道されている。

 

 Bolund氏は「グリーンボンドの統一した基準がまだないことは市場の脆弱性にもなる。われわれは、異なった基準や標準をつなぐ仲介的機能の構築も検討したい」と指摘した。

http://www.government.se/government-of-sweden/ministry-of-finance/