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独立系のESG評価会社「サステナリティクス社」のCEO、 Jantzi氏東京で講演。「日本の責任投資市場の拡大へ期待」「GPIFはリーダーシップ発揮を」(RIEF) 

2016-10-25 18:46:46

sustaキャプチャ

 

 ESG(環境、社会、ガバナンス)の評価機関のサステナリティクス(Sustainalytics)のCEO、Michael Jantrzi氏は東京で講演し、「日本市場の責任投資(RI)市場は近くダイナミックに展開するだろう」と語った。同社は9月に東京オフィスをオープンした。

 

  Sustainalyticsはオランダを拠点とするESG調査会社だが、2009年にJantzi氏が率いるカナダのJantzi Reserachと合併、グローバル展開を進めている。本社はアムステルダムで、世界15都市にオフィスを展開、170人のアナリストを含め300人以上のスタッフを抱えている。http://rief-jp.org/ct6/64143

 

 Jantzi氏は、責任投資を推進する主要なドライバーとして、4つの要因をあげた。①規制の枠組み②受託者責任(フィディシャリー・デューティ)③重要性(Materiality)④Systemic Risk対応、である。

 

 まず規制の枠組みについて、パリ協定の合意から発効が決まり、温暖化リスクに対してグローバルに規制の枠組みが求められる、と指摘。温暖化対策によって世界全体で必要になるインフラのグリーン化投資量は、2030年までに90兆㌦とされるが、「適切な規制の枠組みは非常に重要。規制のサポートなしでは、市場は成長しない」と温暖化規制の必要性を強調した。

 

 ついで、資金運用サイドの要件として、ESG評価における受託者責任のあり方に言及。昨年の米労働省によるERISA法(従業員退職所得保障法)での運用解釈公報で、ESG要因を投資の際に考慮すべき要素とみなされたことを「これによって世界は大きく変わった」と評価した。

 

 また日本市場については、国連責任投資原則(PRI)への署名機関が、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の署名をはじめ年々増加している点を指摘。「署名機関の伸び率のトレンドは他の米欧諸国で責任投資が広がったのと同じように急速日広がっている」と述べた。欧米主要国でも、公的年金機関が市場のリーダーシップを取る役割を果たしていることを紹介し、GPIFについても同様の役割を求めた。

 

 日本での発行が限られているグリーンボンドについては、この秋に入って、三菱UFJフィナンシャル・グループや野村総合研究所、国際協力機構(JICA)、日本政策投資銀行などの発行が相次いでいることに触れ、「非常にエキサイティングな動きだ。日本のグリーンボンド市場は急速に成熟化に向かうだろう」と期待を示した。

 

http://www.sustainalytics.com/