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仏大手銀行のクレディ・アグリコとソシエテ・ジェネラル、新規の石炭火力発電所への投融資停止宣言。代わりに再生可能エネ発電向けファイナンスを強化(RIEF)

2016-11-01 21:57:44

frenchairpollutionキャプチャ

 

 フランス大手銀行のクレディ・アグリコ(Crédit Agricole)とソシエテ・ジェネラル(Société Générale)は、新規の石炭火力事業への投融資を行なわないと宣言した。国内だけでなく、グローバルベースで実施する。仏大手銀行では昨年、ナティクシス(Natixis)が先鞭をつけた行動に続いた形となった。仏大手銀で石炭火力に対して明確なスタンスを示していないのはBNP Paribasだけだ。

 

 両行は2015年に石炭鉱山開発事業への投融資や、OECD諸国での石炭火力事業向けの直接投融資を注視することを決定している。今回の新規石炭火力発電への投融資中止は、その第二段階で、化石燃料事業向けファイナンス縮小策を拡大した形だ。来年1月からの実施を予定している。

 

 ソシエテ・ジェネラルは、「もはやわが行は石炭火力発電およびその関連インフラ向けへのファイナンスは行わない。パリ協定のエネルギー転換の方向に沿った判断だ」と強調した。

 

 既存の電力事業向け投融資残高に占める石炭火力関連事業の比率についても、パリ協定の2℃目標に沿う形で、2020年までに19%に引き下げるという。再生可能エネルギー向けの投資は2020年までに現行の倍増とし、総額100億ユーロを配分する。

 

 クレディ・アグリコも「今回の決定は、これまでコミットしてきた投融資以外の新たな石炭向け投融資を一切行わない」と宣言した。同グループの中核となるCrédit Agricole CIBは、COP21の際、2018年末までに600億ユーロを再生可能エネルギー等に投じると公約しており、その実績は、今年初めから9月末までの9か月間だけで、225億ユーロにのぼっていると明かした。

 

 フランスの銀行は、昨年のCOP21で合意したパリ協定主催国の金融機関として、温暖化対策への積極さで競い合う形となっている。大手行として唯一取り残された形の BNP Paribasだが、同行もパリ協定へのコミットメントは認めている。

 

  環境団体FOEフランスの金融機関キャンペーン担当のLucie Pinson氏は、「BNP Paribasがクレディ・アグリコなどに同調すれば、フランス金融界はパリ協定と、もっとも相いれない石炭産業への金融支援を停止するグローバルリーダーになれる」と指摘している。

 

 ただ、環境NGOのBannkTrackのエネルギー担当のYann Louvel氏は「クレディ・アグリコなどの新しい動きの影響は限定的。彼らはプロジェクトファイナンスだけを念頭に置いている、しかし、彼らの石炭産業への投融資支援の過半は、通常の企業向けファイナンスやサービスによっている」と指摘している。

 

 また、両行はインドネシアとドミニカで計画されている新規石炭火力事業向けの投融資については、今回の「脱炭素ファイナンス」宣言にもかかわらず、中断する姿勢をみせていない、として環境NGOらは批判している。

 

https://www.societegenerale.com/sites/default/files/2016/coal-fuelled-power-sector-policy-oct2016.pdf

http://www.credit-agricole.com/Actualites-et-decryptage/Communiques-de-presse/Communiques-generaux/Le-Credit-Agricole-arrete-de-financer-de-nouveaux-projets-de-centrales-au-charbon