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国際資本市場協会、グリーンボンド原則(GBP)の情報開示標準を公開。グリーンボンド情報の共通比較が可能に。市場の透明性拡大で市場育成を後押し(RIEF)

2016-11-03 22:59:03

GBPキャプチャ

 

 世界約60カ国470の金融機関が加盟する国際資本市場協会(ICMA)は、グローバルに拡大するグリーンボンドの開示情報を標準化した「GBPリソースセンター」をオンライン上で公開した。

 

 ICMAは、主要な金融機関が自主的に作成したグローバル基準であるグリーンボンド原則(GBP)の事務局を担当している。

 

 今回、整備したリソースセンターの開示情報標準は、発行体と外部審査機関向けに、情報開示用のひな形(Template)を示した。投資家はこのオンライン上のセンターにアクセスすることで、発行された各グリーンボンドがGBPの基準に合致しているかや、どこが第三者評価を提供しているかなどが、一目でわかる仕組みになっている。

 

 各グリーンボンドの情報を共通の開示標準で一覧できるため、各ボンドがGBPにどう沿っているかを比較検討できる。またセカンドオピニオンや認証、グリーン格付けなどの第三者評価の内容にもアクセスできる。リソースセンターへの情報登録は、各発行体や第三者評価機関が自ら行う。

 

 ただ、センターへ登録できるグリーンボンドは、GBPのフォーマットに基づくものに限定する。したがって、中国などが国内用に公表するガイドラインに基づくものや、日本の環境省が検討を開始した日本版ガイドラインなどによるボンドは、同センターに登録できない見込み。

 

 すでにICMAが公開した開示基準に基づいて、49のグリーンボンドが共通の基準でセンターで開示されている(11月4日時点)。ICMAでは、グリーンボンド情報の開示基準を共通化することで、市場の透明性が拡大し、取引拡大につながると期待している。

 

 再生可能エネルギー事業や省エネなどのグリーン事業向けの資金調達手段として注目されているグリーンボンドは、今年はこれまでに昨年の5割増の643億㌦が発行されている。ただ、グリーン事業の範囲を拡大解釈したり、調達資金の一部をグリーンと関係のない使途に振り向けるボンドも一部で登場しているという。

 

 国内の資本市場が十分に成熟していない途上国などでは、国内でしか通用しない「通称、グリーンボンド」を生み出しているところもあるという。こうしたことから、ICMAは市場の透明性を整備することで、「グリーン・ウォッシュ・ボンド」や「ライトグリーン(薄緑)ボンド」の跋扈を防ぎ、市場の健全化を目指すとしている。

 

 GBPの運営委員会メンバーで欧州投資銀行資本市場局担当の Eila Kreivi氏は、「GBPはすでにグリーンボンドの基準となっているため、市場参加者は われわれに対して、基準に沿った情報開示の簡素化、標準化を求めている。今回の開示情報の標準は、そうした期待に応えるものだ」と述べている。

http://www.icmagroup.org/Regulatory-Policy-and-Market-Practice/green-bonds/press-releases/