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欧州のSRI投資総額 2015年は20兆ユーロ台に乗せる。米国の約2.5倍。日本の約33倍。インパクト投資が急増。Euro-sifが報告(RIEF)

2016-11-21 18:23:22

Eurosif2キャプチャ

 

 欧州の持続可能な責任投資を推進しているEurosifは2015年の欧州市場でのSRI(Sustainable, Resposible and Impact)投資額が、20兆ユーロ台に乗せたことを明らかにした。伸び率は2年前の2013年比で25%増。特にインパクト投資が385%増と急増したのが目を引く。

 

 Eurosifは二年に一回、欧州市場のSRI投資の状況をまとめている。今回は7回目の報告。先に公表された米国のUSSIFのデータでは、米国のSRI市場は8兆7200億㌦だったので、欧州の市場規模をドル換算すると22兆3100億㌦となり、米市場の約2.5倍に相当する。http://rief-jp.org/ct6/65802?ctid=74

 

 

  ちなみに日本のサステナブル投資については、日本サステナブル投資フォーラム(SIF)が対象31機関へのアンケートによって56兆2566億円という運用資産額を公表している。http://rief-jp.org/ct2/65636?ctid=74

 

 Euro-sifの報告書は、SRIをタイプ別に評価している。まず、もっとも伝統的な手法であるタバコやアルコール、武器など社会的に問題のある産業に関連する企業を投資対象から除外するExclusions型は、前回比(2013年比、以下同じ)22%増の10兆1500億ユーロ。絶対額では最も多い。

 

 ついでサステナビリティなどの規範を投資判断に据えるNorms-based Screening型が5兆877億ユーロで伸び率18%増。投資後に企業に向けて株主提案や総会での投票を重視するEngamement & Voting行動型が4兆2700億ユーロで、14%増。ESG要因を投資判断の際に考慮するESG Integration型が2兆6446億ユーロ、伸び率18%などとなっている。

 

 伸び率が著しかったのは、インパクト投資(Impact Investing)型。投資総額は9832億ユーロと、1兆ユーロにはとどかなかったが、伸び率は385%と急増した。13年の2026億ユーロから5倍近い膨張になっている。インパクト投資は、社会に影響を与えることを目指す企業を投資対象とするともに、投資収益も追求するスタイル。

 

Eurosif1キャプチャ

 

   Exclusions型の投資をネガティブインパクト投資とも呼ぶが、Exclusionの場合は、事業種別がネガティブリストに入っていると、自動的に対象外(銘柄排除)になる。これに対してインパクト投資の場合は、銘柄排除にとどまらず、特定の社会的課題の解決を目指す企業を選び出して投資先にリストアップすると同時に、投資収益性の最大化も目指す。

 

 受け身的なExclusionsよりも、より積極的に企業の選別と収益確保を目指す点が、欧州の機関投資家などに支持されているとの見方もできる。 Eurosifは「SRI市場は欧州全体の投資市場の成長より高い比率で伸びており、かつ個人投資家を対象とした小売市場は2013年からみると、549%増と急成長している」と指摘している。

 

 国別にみると、もっともSRI市場規模が大きいのはフランスの3兆1210億ユーロ、ついでドイツが1兆7863億ユーロ、その次は、英国の1兆5553億ユーロと、スイスの1兆5275億ユーロがほぼ並んでいる(重複調整後)。タイプ別では、成長の著しいインパクト投資が最も多かったのは、オランダで4079億ユーロ、ついでデンマークの3150億ユーロ。

http://www.eurosif.org/wp-content/uploads/2016/11/SRI-study-2016-HR.pdf