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石油大手メジャーのExxonMobile社に対する集団訴訟の呼びかけ始まる。温暖化による保有資産“座礁”のリスク情報の開示不足で、投資家に損失与える(RIEF)

2016-11-15 15:52:05

Exxonキャプチャ

 

   石油メジャー最大手のExxon Mobileが、地球温暖化問題で保有資産が座礁化(Stranded)しているのに、適切な情報開示をしなかったとして、同社を相手取った集団訴訟の準備が始まった。法律事務所のRobbins Geller Rudman & Dowd LLPが申し立てた。他の法律事務所も同様の動きをとっている。

 

 Robbins Gellerによると、訴訟申し立ての理由は、Exxonが保有する石油・ガスなどの化石燃料資産のかなりの部分が、温暖化の進展で価値が減価し、減損処理が必要になっていたのに、情報開示を十分にせず、投資家の投資判断を誤らせたというもの。

 

 具体的には、今年の2月19日から10月27日(Class Period)の間、同社の株価は一株当たり95㌦以上で売買された。その間の同社株は格付け機関からAAAの信用格付けを付与された。その結果、同社は120億㌦の債務を売却したと指摘している。

 

  逆にいうと、この間、投資家はExxon株を実際の価値よりも高く買わされていた、との指摘だ。対象期間中に同社株を購入した投資家は、今月7日以降の60日以内に、集団訴訟に参加できる。

 

 さらに、Exxonは、資産評価を従来通りに維持するため、保有資産全体のカーボン価格、あるいはカーボン税やキャップアンドトレードなどに対応して同社が負担する「規制コスト」を故意に低く見積もるなどの操作もしていた、とも指摘している。

 

 こうした情報開示の操作は1934年証券取引法に違反するとして、テキサス州北部地区地方裁判所に提訴の準備を公表した。また、他の法律事務所のBronstein、 Gewirtz & Grossman. LLCなども同様の発表を行い、集団訴訟の輪が広がっている。

 

 Exxonの情報開示を巡っては、 (a) 地球温暖化と気候変動によって環境リスクが生じることを早い段階で内部で認識していたのに、それらを開示してこなかった (b) 温暖化や気候変動激化の影響で、同社が保有する化石燃料資源の中には開発不可能のものが増えて座礁し、減損処理が必要になる公算が高い (c) 同社の排出量を少なくするため、カーボン税や排出権取引等の規制コストを不正確に見積もってきた――などが指摘されている。

 

  また今年の8月中旬から9月後半の間、異なった情報源によって部分的に報道された情報により、市場関係者は、規制当局がExxonの気候変動関連の資産価値を調査し始めたことを初めて知った。さらに、同社が原油価格の下落に直面して、これら保有資産の減損を先送りしてきたことも当局の調査対象となっているという。

 

  こうした情報が広がったことで、Exxonの普通株式の価格は9月20日に、一株当たり82.54㌦まで下がり、13%以上の下落となった。この下落により、同社の時価総額は数十億㌦の減少となり、投資家の損失につながった。

 

 Exxonは10月28日に、第三四半期の決算開示時には、石油・ガス資産のほぼ20%の減損処理を強いられる可能性を言及した。特に、36億バレル分のオイルサンド資源と、北米保有資産のうち10億バレル分の償却を認めた。このニュースが流れたことで、同社の株価は、高い取引量の中、一株当たり2㌦以上下落した。

 Robbins Gellerは、こうしたClass Period期間に起きた同社株の激しい下落で、被った投資家の損失額を回復させることを求めている。Robbins Gellerは、投資家による集団訴訟を仕切る経験の豊富な法律事務所として知られる。10のオフィスに約200人の弁護士を抱える。

http://www.rgrdlaw.com/cases-exxon.html