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米US-SIF 米国のSRI(持続可能な責任・インパクト)投資額 2年前より33%増の8兆7200億㌦(950兆円)に増大。「トランプ登場」でも投資家のESG重視変わらず(RIEF)

2016-11-17 23:22:56

USSIFキャプチャ

 

 持続可能な投資の促進を目指す米国のUS-SIFは、米国市場でのSRI(Sustainable,Respnsible and Impact)投資額が、2016年は2年前に比べて33%増の8兆7200億㌦(950兆円)に達したという報告書を公表した。

 

 USSIFは、SRI投資増大の要因について、資産運用機関が運用に際し、ESGクライテリアを重視するようになったことが大きいと分析している。SRI投資額は2014年は6兆5700億㌦だった。さらに20年前には6390億㌦で、約14倍増となっている。

 

 ESGクライテリアの評価において、機関投資家や資産運用機関がもっとも重視するテーマは、利害対立リスクと気候変動リスク。株主提案では、2014年から今年上半期にかけて、2兆5600億㌦を運用する176の機関投資家と49の投資マネージャーがESG関連での株主提案に関与したとしている。

 

 USSIF FoundationのCEO、Lisa Woll氏は「持続可能なインパクトインベストメントの活発な成長傾向は、投資マネジャーがESGクライテリアを顧客の要請を受けて、委託を受けた投資ポートフォリオに広範に適用していることから、今後もさらに拡大していく」と説明している。

 

 ただ、トランプ氏が次期大統領に選ばれたことは、SRI投資業界にとっても予想外のショックだった。トランプ氏が温暖化問題に疑問を示すなど、これまでのESGの流れと逆行するスタンスを示しているためだ。老舗格のSRI資産運用機関のZevin Asset Management の創設者であるRobert Brooke Zevin氏は「絶望的で、不吉だ」と落胆を隠さない。

 

 しかしUS SIFでは、現在のSRI投資の着実な増大は、顧客である機関投資家や個人投資家の需要から生まれており、政治的な変化であまり急速に変わることはない、とみている。とりわけ、長期的な金融のリターンを伴ったESG評価が定着してきていることが大きい。

 

 今回の報告では、資産運用機関がESGを統合評価する理由として、顧客需要(85%)、ミッション(使命:83%)、リスク対応(81%)、リターン向上(80%)、 社会的利益(78%)、フィデシャリーデューティー(受託者責任:64%)、規制対応(22%)などをあげている。

 

 報告書作成には、797の資産運用機関と1660の機関投資家が協力した。

 

 日本のSRI投資総額は、日本サステナブル投資フォーラム(SIF)のアンケート調査で、今年で56兆円とされる。昨年より2.1倍という急成長だが、米国市場に比べると、まだ17分の1でしかない。http://rief-jp.org/ct2/65636?ctid=69

 

http://www.ussif.org/blog_home.asp?Display=75