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国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI) ポジティブインパクト・イニシアティブ原則(PII)を立ち上げへ。経済、環境、社会へのプラス効果を促進(RIEF)

2016-11-17 22:00:53

Positive impact investmentキャプチャ

 

 国連環境計画(UNEP)金融イニシアティブ(FI)は、国連が推進する「持続可能な発展目標(SDGs)」を実現するため、民間金融の資金を活用する「ポジティブインパクト・イニシアティブ(PII)原則」を、2017年初めに宣言し、金融機関と投資家の参加を求めていく。環境、経済、社会へのポジティブな影響(プラスの効果)をもたらすような金融への取り組みを推進するのが狙いという。

 

 UNEP FIはすでにポジティブ・インパクト・ワーキンググループ(PIWG)の下で、昨年、マニフェストを作成。原則実現のロードマップに沿って、準備を進めてきた。PIWGには、オランダのING、トリオドスバンク、フランスのソシエテ・ジェネラル、ミロバなどの専門家で編成されている。

 

 ポジティブインパクト・ファイナンス(PIF)の考えは、国連のSDGsを実現するには、2030年までに年間5兆~7兆㌦の資金が必要とされる。膨大な資金需要だが、民間資金市場の規模は銀行融資だけで140兆㌦、機関投資家資金100兆㌦、資本市場の債券100兆㌦、株式市場73兆㌦という規模に比べると、ほんの一握り。

 

 SDGs市場が、経済や社会にプラスの効果を持つことを、検証可能な形で金融が取り組めれば、年間5兆~7兆㌦の資金需要は十分にビジネスベースで満たされることになる。

 

 これまでのESG投融資や持続可能なファイナンスなどの提唱では、環境リスクなどの非財務要因を投融資の際に評価、審査判断に組み込むことで、ネガティブインパクト(マイナスの影響)を減少させることに主眼が置かれてきた。

 

UNEPFIキャプチャ

 

 UNEP FIはこうしたネガティブインパクトの軽減についても、環境、経済、社会へのプラスの効果をもたらすPIFを展開することで、リスク軽減を促進できる、としている。

 

 PII原則の目的としては、グローバルな金融コミュニティおよびそのステークホルダーに向けて、PIIの共通言語を提供し、定義や、評価枠組などを統一、明確化すること、としている。原則は①定義②実行③情報開示④評価――の4段階に分けている。

 

 ①の定義では、「PIFは持続可能な開発の3つの側面(経済、環境、社会)のいずれかにおいて、然るべき方法においてマイナスの影響が特定され、軽減された後に、少なくともそれらの一つの面に対してプラスの貢献をもたらす働きをするもの」としている。

 

 また②実行では、「PIFを実行するには、影響を把握しチェックするための然るべき方法、プロセス、ツールが必要」。③の情報開示は「透明性の確保と情報開示が求められる」、④の評価は「意図された影響の実現度合いによって評価されなければならない」とされている。

 

 UNEP FIはPIIの原則を策定後、新しいビジネス・金融モデルを示すため、ポジティブインパクト・インキュベーターを立ち上げ、モデル開発を行う。またKPIsの開発や、認証・評価のための手法の開発等も手掛ける予定だ。

 

 日本の金融機関や投資家が、新たな原則をどう受け入れるか。

 

http://www.unepfi.org/banking/positive-impact/