HOME6. 外国金融機関 |フランス オランド大統領主導で「ソーシャルインパクトボンド」導入。第一弾にBNPParibasなどの参加プログラム2件(RIEF) |

フランス オランド大統領主導で「ソーシャルインパクトボンド」導入。第一弾にBNPParibasなどの参加プログラム2件(RIEF)

2016-11-27 22:13:20

horandキャプチャ

 

  フランスのオランド大統領はフランス版のソーシャルインパクトボンド「Le contrat à impact social (CIS)」 の設立に署名した。同ボンドは社会的課題の解決計画へ金融機関などの投資資金を活用、政策コストの削減に見合うリターンを支払う仕組み。第一弾として、仏銀BNP Paribasが地方企業の雇用創出活動に出資する事業など2件が承認された。

 

 ソーシャルインパクトボンドは2010年に英国で始まった。現在は米国、オーストラリア、ベルギー、ポルトガルなど9カ国で導入されている。フランスへの導入については、マルティーヌ・パンヴィル経済財政相付商業・手工業・消費・社会的連帯担当相が3月に明らかにしていた。

 

 今回のCISのスキームには、仏銀のBNP Paribas、仏預金供託金庫(La Caisse des Dépôts)のほか、相互保険グループのAG2R La Mondiale、ルノーなどが参加する。

 

CIS1キャプチャ

 

 オランド大統領は「民間企業が金融リスクをとり、社会的課題に取り組み、公的資金が実際の成果に投じられる」と同ボンドの仕組みを評価した。CISのスキームでは、フランスの慈善団体や社会的活動団体が、投資家や金融機関に対して、社会的課題の解決計画への出資を求める。

 

 たとえば、刑務所から出所した人の再犯防止活動に取り組むNPOが、再犯率低下プログラムを計画する。そのプログラムに投資家が出資し、計画通りに再犯率が低下すると、刑務所費用などの社会的コストが低下するため、政府が投資家に対して元利金を支払う仕組みとなる。

 

 ただ、計画通りに再犯率が低下しない場合、プログラム効果はなかったことになり、投資家が回収できる資金額が制限される。

 

CIS2キャプチャ

 

 CIS対象事業の第一弾の一つは、BNPParibasがフランスの地方企業支援を展開する団体「 L’Association pour le Droit à l’Initiative Economique (Adie)」の活動に資金支援する。監査法人のKPMGも協力する。期間は6年半で、150万ユーロを拠出する。計画では320人の雇用を生み出す予定で、成功すると、成功報酬として19万5000ユーロを得る。

 

 もう一つは、生活困難地域での企業育成に取り組む「IMPACT Académie」のプログラム。地域内に雇用と生活の場である店舗を設立する計画。期間は5年。全体の投資費用は最大100万ユーロ。期間中に300の企業を設立、1500人の雇用を創出、400人を職業訓練する計画で、達成すると投資リターンが生まれる。

 

  さらに近く3件の投資計画を承認する予定で、来年1月末まで、追加的なプログラムを募集するという。

 

 企業、金融機関にとって、従来型の社会的責任(CSR)活動から、大きく一歩を踏み出すもので、社会課題に官民協調で取り組み、成果をあげれば社会的名声と経済的リターンも獲得できるだけに、日本でも取り入れたい政策だ。CSR活動の先進企業が政府に日本版CIS設立の声をあげてもらいたい。

 

http://www.economie.gouv.fr/contrat-impact-social