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米国ノースダコタ州での原油パイプライン計画問題で、陸軍省が建設計画の変更を指示。先住民らの言い分が通る。代替案を検討に。建設は来年以降に延びる(RIEF)

2016-12-05 13:16:51

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 米陸軍省は4日、ノースダコタ州からイリノイ州につながる全長1172マイル(1886km)の原油パイプライン「ダコタ・アクセス・パイプライン」の建設計画で、ノースダコタ州にあるダム湖の下を通る工事を認めない、と発表した。環境保護などを訴えるネイティブ・アメリカン(先住民)らの抗議行動に配慮した。

 

 パイプラインの建設に反対しているのは、予定地の近くに居留地を持つスタンディング・ロック・スー族。パイプラインがミズリー川をせき止めて作った人造湖のオアヘ湖の下を通ることで、「水資源が汚染される」「伝統文化や慣習を無視している」などと主張し、抗議を続けてきた。スー族の主張に賛同して、全米から集まった多くの他の先住民やNGO、環境保護団体、支持者らも抗議行動を続けていた。http://rief-jp.org/ct6/66109

 

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  工事予定地は米陸軍工兵司令部が所管しており、着工には陸軍省の許可が必要。陸軍省の市民活動担当の局長補のJo-Ellen Darcy 氏は記者会見し、「パイプライン計画を成し遂げる最善の方法は、代替ルートを開拓するべきだ」と述べた。同氏は、今後も、スー族や、パイプラインの建設会社と協議を進めるとしているが、代替ルートの選択に際しては、影響を受ける住民全員の参加による環境影響書を踏まえて決定するべき、としている。

 

 パイプラインは年内完成の予定で建設作業が進められ、すでに工事の大半が終了している。しかし、今回の陸軍省の決定で、完成は来年以降に延びることになった。陸軍省では、反対運動が全米に拡大しているほか、退役軍人たちからも、同計画に対する反発が強く、反対運動に2000以上の退役軍人が賛同の署名をするなどの動きも出ていた。

 

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 全米アメリカンインディアン協議会(ACAI)代表の Brian Cladoosby 氏は「事態は完全に解決されたわけではないが、陸軍の決定は大きな良いニュースだ。すべての部族が最初から平和的解決を祈ってきた。今回の決定は、そうした方向に向かうだろう」と述べている。

 

 同パイプライン建設問題には、世界中の環境団体等も抗議活動を展開、国際的NGOのBankTrackなど、世界50カ国の400以上のNGO、住民団体等が、パイプライン建設事業に融資している国際金融機関に対して、融資停止を求める公開質問状を送付した。金融機関には日本の3メガバンクとSMBC日興証券が含まれている。建設ルートの再検討で、当初のプロジェクトファイナンスの見直しなどを含め、新たな資金需要も発生するものとみられる。

https://www.army.mil/article/179095/army_will_not_grant_easement_for_dakota_access_pipeline_crossing