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国連責任投資原則(PRI)。理事会の運営に疑義を示して3年前に離脱したデンマークの11年金のうち4機関が再署名へ。ガバナンス改善を評価(RIEF)

2016-12-08 23:56:36

PRIキャプチャ

 

  国連の責任投資原則(PRI)のガバナンス体制に疑問を呈して脱退していたデンマークの11年金基金のうち4基金が、再署名する方向となった。PRIが年金側の批判を 考慮してきたことを評価したという。

 

 デンマークの6つの年金基金がPRIから集団離脱したのは、2013年12月のこと。続いて5年金も離脱し、その数は11になっている。このため、デンマークの資産保有機関での署名は現在、2機関しかない。最初に離脱した6年金は、当時の共同声明で、「PRIのある期間のガバナンスの欠如」を理由として脱退した。

 

 彼らは、ガバナンス問題の詳細な理由は示していない。だが、PRIの理事会の構成を巡る論点と、PRIが本部を置く英国ロンドン流のビジネスライクな運営と、北欧流の堅実な考えとの食い違い等が指摘されてきた。

 

 前者の点では、PRIは年金・保険等の資産保有機関と、運用を担当する資産運用機関、両者にアドバイス等をする専門機関の3業態で構成しており、理事会もそれぞれの代表が選ばれる。保有機関代表が理事の多数を占めるが、特に保有機関と運用機関の関係が論点となったとの見方もある。

 

 11年金基金の集団離脱は、PRIの10年の歴史の中でも、最悪のエピソードである。投資先企業の環境、社会、ガバナンス(ESG)を投資評価に加えることを促進するPRI原則を掲げる組織が、そのうちのガバナンスの在り方に疑義が示されたためだ。

 

 デンマーク以外の国からは、その後、同調の動きは出ていない。だが、事務局長のFiona Reynolds氏らが、デンマーク側との調整を引き続き進めるとともに、運営の在り方についても内部的に検討を進めてきた。

 

 その結果、ATP、 PFA、 PKA、 Sampensionの4年金はこのほど、 「PRIは我々が求める運営構造の基本的な改善にはまだ至っていない。しかし、PRI議長のMartin Skancke 氏との『建設的対話』等を通じて、PRIは政策と運営方針の変更を進め、計画決定の『見える化』を進めることで、われわれの批判を受け入れている」との声明を出し、再署名の方向性を示した。

 

 ただ、4年金は「すべての運用問題が解決しているわけではない」と注文も付け、さらなる改善は署名機関に戻ってから取り組む、との姿勢を示している。再署名の意思表示をした4年金は、3年前に集団離脱した6年金のうちの4年金。追随した他の年金は判断を明確にしていない。

https://www.unpri.org/about/pri-governance/pri-board-members