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ビル・ゲイツ氏ら世界の起業家による投資イニシアティブ「BEC」が、新エネルギー開発で10億㌦規模のベンチャーキャピタル設立。孫正義氏も参加(RIEF)

2016-12-12 23:08:35

 

 ビル・ゲイツ氏ら、世界の著名起業家らが地球温暖化問題を技術の力で解決するために、昨年末に立ち上げた投資イニシアティブ「Breakthrough Energy Coalition(BEC)」が、エネルギー分野に特化した総額10億㌦(約1150億円)超のベンチャーキャピタル(VC)を設立すると発表した。

 

 新たに設立されるのは、Breakthrough Energy Venture(BEV)。少なくとも10億㌦で立ち上げ、今後20年間、エネルギー分野の最新技術開発へ投資する。投資の基本スタンスは「世界のすべての人々に、温室効果ガス(GHG)の排出せず、信頼性が高く利用可能な電力、食料、製品、運輸、サービス等にアクセスできるようにする」ことを目指すという。

 

 BEVにはマイクロソフトの創業者のビル・ゲイツ氏のほか、米アマゾン・ドット・コム最高経営責任者(CEO)のジェフ・ベゾス氏、中国アリババ集団会長の馬雲(ジャック・マー)氏、英ヴァージングループ創業者のリチャード・ブランソン氏、日本のソフトバンクの孫正義氏ら20人が出資する。

 

 ゲイツ氏らは、昨年12月、オバマ米大統領の要請で、世界的起業家の知恵と不屈の精神を結集して、温暖化問題をブレークスルーするエネルギー技術開発を後押ししようとして、BECを発足させた。http://rief-jp.org/ct4/56614

 

 BECは、日米仏と中国、インドなど21カ国がパリ協定を前提に取り組むクリーンエネルギー分野の官民共同の研究開発プロジェクト「Mission Innovation」を、技術開発の面から後押しすることを目的とする。

 

 各国はクリーンエネルギーへの政府投資を今後5年間で現在の約100億㌦(約1兆2000億円)から200億㌦に倍増させる、としているが、実際には財政事情等もあり、計画通り進むかが課題となっていた。また米国は、トランプ次期大統領になると、温暖化対策に消極的な姿勢に転じる懸念がある。

 

 そこで、ビル・ゲイツ氏がリーダーシップをとる形で、BECに賛同した世界的な民間起業家たちが、自らのポケットマネーを持ち寄り、官民連携の「けん引役」となるベンチャーファンドをまず稼働させる形となった。

 

 研究開発に成功しても、事業化にまで持ち込むには、様々な障害が立ちはだかる。今回、起業家たちがベンチャーキャピタルを設立するのは、そうした障害を彼らが引き受けるとの意思表示でもある。

 

 ただ、グローバルな温暖化対策、そしてトランプ対策となるような抜本的なエネルギー技術の開発のためには、10億㌦程度では足りないとの声もある。「少なくとも10億㌦」がどこまで広がるか。

 

http://www.b-t.energy/ventures/