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本年のグローバル市場でのグリーンボンド発行額790億㌦。伸び率87%増。中国市場の成長が後押し。多様性も進む(RIEF)

2016-12-26 15:36:51

GB3キャプチャ

 

 英非営利団体のClimate Bonds Initiative (CBI)は、今年のグローバル市場でのグリーンボンドの発行額が790億㌦(約9兆24oo億円)と、前年の87%増に達したと公表した。さらに中国が国内独自のガイドラインに基づいて発行しているものを加えると、915億㌦(約10兆7000億円)になる、としている。

 

 CBIによると、昨年のグリーンボンド発行額は422億㌦で、前年比14.0%増の伸び率だった。今年急増した主な要因は、中国で昨年末に中央銀行の中国人民銀行が国内向けのグリーンボンド・ガイドラインを作成、年初から金融機関等に積極的に発行枠を許可したことが大きい。

 

 中国金融機関・企業は、国内向けのグリーンボンド発行のほか、国営銀行などを中心として、グローバル市場の標準化を目指しているCBIやグリーンボンド原則(GBP)などに沿ったボンドも発行を増やした。CBIは中国の国内版グリーンボンドの発行規模は125億㌦と見込んでいる。

 

 GB1キャプチャ

 

  グリーンボンドは、発行額が急増しただけではない。ボンドの多様性もみられた。担保評価を組み込んだグリーン・カバードボンド、エコ住宅を対象としたグリーンモーゲージドーバック証券、また日本の三菱UFJフィナンシャル・グループが発行した金融システミック対策のTLACボンドを活用したグリーンTLACボンドなども登場した。

 

 トランプ次期米大統領の選出で、米国の温暖化対策が180度変わる可能性が浮上している。だが、興味深いことに米大統領選の結果が判明した11月は、月間のグリーンボンド発行額が初の100億㌦台乗せの129億㌦という過去最高の数字を記録している。反動で12月は41億㌦に下がったが、CBIは「トランプ懸念はあるものの、世界的な低金利は引き続きつついており、世界経済にとってグリーンボンド発行の経済的魅力は続く」とみている。

 

 また、2017年に注目されるのは、グリーンボンド国債の発行だ。すでにポーランドが今月初めに世界で初めてのグリーンボンド国債を発行したが、同国以外にもスウェーデン、フランス、ナイジェリアなど合計9カ国がグリーンボンド国債の発行を検討している。パリ協定で各国が2℃目標に向けて自国の削減目標を約束したが、そうした目標を達成する国内での温暖化対策の実施資金を、グリーンボンド国債の発行で調達しようという動きが広がる期待がある。

 

https://www.climatebonds.net/