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スウェーデンの公的年金AP7 パリ協定の目標達成に反する企業として、ExxonMobile、ガスプロムなど6社を監視リストに。適切な対応がない場合、6カ月内に投資除外へ(RIEF)

2017-01-07 23:32:43

AP7キャプチャ

 

  スウェーデンの公的年金Sjunde AP-fonden (AP7) は、米メジャーのエクソン・モービルを含む6グローバル・エネルギー企業を、パリ協定による気候変動対応の目標達成に反する可能性があるとして、投資から除外する準備の監視リストに入れたことがわかった。

 

 監視リスト(ウオッチ リスト)に入れたのは、次期トランプ米政権で国務長官候補になっているレックス・ティラーソン氏が現在CEOを務めるExxonのほか、同じ米国のAmerican Energy、Southern Company、Westar Energy 、それに、カナダのTranscanadaと、ロシアのガスプロム(Gazprom)。AP7が保有するこれら6企業株の時価総額は約3億ユーロ(約370億円)。

 

 AP7は、投資ポートフォリオの構成に際して、投資先企業が抱えるESGなどの非財務的価値を重視する「規範ベース・アプローチ」を採用している。その一つとして、地球温暖化対策に反する企業への投資を引き揚げる方針を打ち出している。

 

 すでにAP7は6社に対して、投資対象からの監視リストに入れたことを通告している。6社が、6か月以内に、AP7の評価を否定する情報を提供しない限り、ウォッチリストからブラックリスト(除外リスト)に移行させる、としている。

 

 AP7はグローバルな株投資ポートフォリオに、2500以上の企業を組み込んでいる。昨年のパリ協定発効後、これらの企業について、気候変動を緩和するパリ協定の目標の達成に、反する事業内容や活動内容の企業株を特定するスクリーニング作業を実施してきた。今回、名指しした6社は、そうした作業で浮上した「問題企業」の第一陣となる。

 

 温暖化対応のスクリーニングは、大まかに二つの点を中心に選別した。対象企業のビジネス活動が、パリ協定が目指す「2℃目標」達成と調和がとれているかどうか、あるいは、協定を達成するための国内の温暖化対策の障害になったり、妨げたりするようなロビー活動等をしていないかどうか。

 

 AP7はほぼ16年前から、「規範ベース・アプローチ」として、人権、労働問題、環境問題、腐敗等の社会規範に違反した企業株を除外するスクリーニング作業を実施してきている。昨年6月時点で、これらの規範に違反する企業として世界の55カ国をBlack listに入れている。

 

 スウェーデンではAP基金(Allmänna Pensionfonden:公的年金基金)と呼ばれる6つのファンド(AP1~4,6,7)が公的年金の積立金を運用している。AP7は積立方式分の資金の運用を担当している。株ファンドの規模は3035億スウェーデンクローネ(約333億㌦=約3兆9000億円、昨年11月末時点)。

 

 銘柄別では、Apple、Microsoftに続いて、Exxonは第三位の保有率となっている。日本企業では17番目にトヨタ自動車の株が買われている。

 

https://www.ap7.se/en/About-AP7/Our-products/Building-blocks/AP7-Equity-Fund/