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米国の630以上の企業・投資家等が、トランプ次期米大統領と議会に対して、「パリ協定の実行」を求める公開書簡送付(RIEF)

2017-01-11 12:43:34

USAキャプチャ

 

  米国のデュポンやナイキなどの大企業や投資家団体など、630以上の組織が10日、トランプ次期米大統領や米議会に対し、地球温暖化対策を強化するよう求める公開書簡を提出した。トランプ氏の大統領就任式が10日後に迫った段階で、温暖化問題に対処するパリ協定の実行を新政権に要請する形となった。

 

  署名したのは「Business Backs Low-Carbon USA」のメンバー企業。官民で組織する米環境NGOのCeres、WWF、WMB(We Mean Business)が取りまとめ役を担っている。

 

 公開書簡では、「歴史的なパリ協定の実行を通じて、気候変動の解決のために積極的に参画する」ことを宣言、エネルギー効率性を高め、低カーボンエネルギーによって、米経済が強化されることを期待する、としている。トランプ氏が、大統領選挙期間中に、パリ協定からの離脱や、温暖化対策への後ろ向きの姿勢を示したことに対して、経済の視点での反対を示した形だ。

 

 さらに、低炭素経済への移行に失敗すると、米経済の発展がリスクにさらされると警告、逆に温暖化対応の適切な行動がとられれば、雇用の増加につながり、米経済の競争力を強める、と指摘している。パリ協定で、世界の気温上昇を産業革命前からの2℃上昇に抑えるとした国際合意に沿った温暖化対策に、経済界も自らの貢献を果たすと述べている。

 

 こうした問題意識を強調したうえで、トランプ氏に3つの要請を行なっている。①米国の国家目標を満たし、将来の発展を増大させる低炭素政策の継続②金融機関に低炭素分野へファイナンスし易いように、また世界中の投資家が低炭素投資への信頼を高めるため、米国内外での低炭素経済へ投資する③2℃目標を維持するために必要な長期的な方向性を提供するため、パリ協定への参加を続けること、である。

 

 書簡への署名企業は、デュポン、ナイキのほか、アディダス、衣料品のギャップやホテルのヒルトン、ヒューレット・パッカード(HP)、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)、スターバックス、ティファニーなど。外国企業も、イケア北米、ユニリーバー、バージン、シュナイダーエレクトリックなどが名を連ねた。企業以外にもニューヨーク州やカリフォルニア州の教職員退職年金基金などが加わった。

 

 トランプ氏は、選挙期間中にパリ協定からの離脱を主張した後、選挙勝利後は、協定に対する論評を和らげている。だが、温暖化対策でオバマ大統領が推進した石炭火力発電の撤退を促すクリーン・パワー・プラン(CPP)の廃止を目指して、米環境保護局(EPA)長官に温暖化懐疑派のクラホマ州のスコット・プルイット州司法長官を指名するなどの姿勢をとっており、米経済界には温暖化対策の遅れが米経済にマイナスの影響を及ぼすことへの懸念が高まっている。

http://www.lowcarbonusa.org/