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グローバルなクリーンエネルギー市場、昨年2016年は前年比18%減の2875億㌦に。再エネ発電のコスト低下と、中国・日本市場の“減速”も影響。BNEFが公表(RIEF)

2017-01-14 00:12:21

BNEFキャプチャ

 

 グローバル市場での再生可能エネルギー発電などのクリーンエネルギーへの2016年の投資額が、前年比18%減の2875億㌦(約33兆2000億円)と、3年ぶりのマイナス成長に転じた。日本市場での固定価格買い取り制度(FIT)見直しも影響した。ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス(BNEF)が公表した。

 

 クリーンエネルギー市場が昨年、大きく減速した理由は二つある。一つは、太陽光や風力発電のコストが減少し、投資額が減った点。これは再エネ普及によるコストダウンというプラス面だ。もう一つは、太陽光発電がブーム化してきた中国、日本の両市場の減速というマイナス面も顕在化した。

 

 プラス面をみると、昨年、新規投資で生み出された発電量は太陽光の場合で70GWと、前年(56GW)より25%増えた。風力は56.5GWで前年(63GW)と10.3%減だが、両者を合わせた再エネ発電能力は5.9%増と着実に増えている。コスト低減が明確に数字に表れたといえる。

 

 BNEF2キャプチャ

 

 一方で、投資需要が低下したのも事実だ。昨年の中国市場は878億㌦で前年比26%減と大きく下がった。前年15年は過去最高の1191億㌦を記録しており、急ブレーキがかかったのは間違いない。

 

 中国政府は石炭中心のエネルギー体制を転換するため、15年から16年上半期までFIT政策で再エネ発電を前倒し推進した。16年全体ではその反動で投資額が鈍ったといえる。

 

 BNEFのアジア担当のJustin Wu氏は「中国は経済の減速からエネルギー需要もスローダウンしている。政府はこれまでの再エネ投資中心から、送電網への投資にシフトし、設置した再エネ発電のフル利用を目指している」と分析している。

 

 日本も、FITでの太陽光発電の買い取り価格を毎年急ピッチで引き下げたことに加えて、経済産業省が太陽光発電について、FITでの買い取り制度から入札制度に切り替える方針転換を打ち出した(実施は今春以降)ことで、「政策リスク」が顕在化、太陽光への新規投資が急減した。16年は前年比43%減の228億㌦にとどまった。

 

 Wu氏は、日本の再エネ市場について「メガソーラーなどの大規模な発電から、家庭の住宅用屋根置きパネルによる電力自給型の投資にシフトするだろう」と展望している。

 

 クリーンエネルギー投資全体は減速したものの、洋上風力発電は前年比40%増の299億㌦と急成長、過去最高規模になった。風力発電の効率化上昇と、大規模プロジェクトの展開、さらに建設コストの低下等がプラスに働いた。

 

 洋上風力の主要投資市場は欧州。英国、ドイツ、ベルギー、デンマークなどの沖合での投資が進んだ。欧州での総投資額は258億㌦。残りの41億㌦分は中国市場への投資だった。北米や台湾でも建設計画が進んでいる。

 

 クリーンエネルギー市場を地域別にみると、米国市場は7%減の586億㌦。再エネ事業に適用される税控除の延長が15年12月に決まり、投資決定の遅れにつながった。中国のほかインドも含めたアジア市場全体では1350億㌦で前年比26%減だった。しかし、アジアだけで世界の半分近い47%を占める。インドは前年とほぼ同レベルで96億㌦だった。

 

 洋上風力発電への投資が続く欧州は3%増の709億㌦。国別では英国が2%増の259億㌦で欧州勢トップ。ドイツが16%減の152億㌦で第2位。フランスは5%減の36億㌦。伸び率で大きかったのはベルギーが179%増の30億㌦、デンマーク102%増の27億㌦、スウェーデン85%増の20億㌦などとなっている。

 

 クリーンエネルギーへの投資手法では、大規模再エネ事業への融資(Asset finance)が1871億㌦でもっとも多かった。ただ、伸び率は前年比21%減。上位7位までの融資案件はすべて洋上風力発電事業で占められた。

 

 住宅用の屋根置き型太陽光パネル事業への投資額は398億㌦で、前年比28%減。減少の主要要因は屋根置き用太陽光発電システムの費用低下によるもので、需要の低下ではないという。

 

 株式市場での新規公開(IPO)などを活用した資金調達は前年比21%減少の121億㌦。ベンチャーキャピタルとプライベートエクイティの投資は、19%増の75億㌦。企業のクリーンエネルギー分野へのR&D(研究開発)投資は21%減の134億㌦だった。

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