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今年のグリーンボンド発行見通し。仏投資銀行Natixisが前年比6割増の1440億㌦と強気の推計を公表(RIEF)

2017-01-16 10:20:54

Natixisキャプチャ

 

  昨年2016年のグローバル市場でのグリーンボンドの発行額は前年より倍近く伸びたが、今年も60%増の1440億㌦との見通しが出た。フランスの投資銀行Natixisが推計した。年初からの市場予測の中では、もっとも強気な予測となる。

 

 Natixisは毎年、年次予測を公表しており、今回が3回目。発行体ごとの推計を元に総額をはじいている。たとえば、昨年ポーランドが初めてグリーン国債を発行したが、今年は国債のほか国際公的金融機関などの公的機関の発行が380億㌦とみている。

 

 また企業発行の公募のグリーンボンドが280億㌦、ハイイールド・グリーンボンドが30億㌦、金融機関による発行150億㌦、米国の自治体によるグリーン地方債(グリーン・マニ債)110億㌦、中国の国内市場でのグリーンボンドが420億㌦、資産担保証券(ABS)型のグリーンボンドが70億㌦、とそれぞれ見立てている。

 

 これらの発行体別の推計のうち、公的機関分と中国の国内市場分は、2016年の水準と同レベルと仮定している。

 

 Natixisは、2016年の発行総額を930億㌦(Climate Bonds Initiative=CBI=は810億㌦と計算)と計算している。機関によって発行総額の評価にばらつきがあるのは、石炭ガス化火力発電所なども“クリーンエネルギー”とみなす中国の定義などの扱いの差が大きい。ちなみにCBIは今年の発行見通しを1300億㌦と予測している。

 

 Natixisはグリーンボンドの評価を、他の予測機関に比べて、比較的幅広くとっているようだ。ただ、過去最高額だった昨年の発行額についても、同社は「期待ほどの伸びではなかった」と評価は低めだ。それは7割以上の伸び率で、1000億㌦台直前にまで迫ったものの、グローバルな債券市場の規模と比べると、わずか1%程度でしかないためだ。逆に言うと、伸びる余地が十二分にあるということになる。

 

 Natixisは、推計に際して、機関投資家層などが投資しやすいグリーンボンドのユニバース(基本ポートフォリオ)を想定している。たとえば、資金使途の事業等の評価で、流動性が高く、一定の発行規模、資金使途の明確さなどが示されているものを対象とする。このユニバースが、昨年の300億㌦から47%増の490億㌦増えるとみている。

 

 Natixisはこの基本ユニバースに、ABS型や米国のグリーン・マニ債、さらに中国の国内市場発行のグリーンボンドは含めない。これらの除外分の昨年の発行分を合計すると、393億1000万㌦になる。ユニバースに組み込むグリーンボンドの発行額は最低でも2億㌦としている。

 

 さて、Natixisの見立て通りのグリーン成長が今年も続くかどうか。

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