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オランダの中央銀行DNBが、SDGsの目標達成に向け、サステナビリティと気候変動への資金の流れを高める「サステナブルファイナンスのプラットフォーム」を立ち上げ。4月に会合(RIEF)

2017-01-18 01:08:54

DNBキャプチャ

 

 オランダの中央銀行のDNBは、 「サステナブルファイナンスのためのプラットフォーム(PSF)」の会合を4月に開く。同プラットフォームは、 国連の持続可能な開発目標(SDGs)の目標達成に向けた投資行動計画を推進するため、同国の金融界と金融当局が官民連携で推進する場となる。

 

 オランダの金融界は昨年から、PSFを通じた持続可能課題への金融界の取り組み促進を進めている。PSFは、中央銀行のDNBが議長役となり、主要金融機関や金融業界団体等の代表らが一堂に集まって、気候変動やサステナビリティに関する情報交換を促進することを目指す。

 

 民間メンバーは18のオランダの金融機関が中心。各機関の資産合計額は2.8兆ユーロ(約3兆㌦=約344兆円)。これらの金融機関はSDGsの目標に沿った投資のための行動計画を、政府とDNBに対してレポートする。

 

 DNBのPSF担当の Maarten Vleeschhouwer氏によると、PSFのイニシアティブは、昨年11月に各金融機関と国連環境計画(UNEP)金融イニシアティブ(FI)、オランダの環境金融NGOのサステナブルファイナンスラボがリードする形で立ち上がったという。

 

 金融界横断的な形でプラットフォームを形成する理由について、同氏は「サステナビリティについて多くのことが動いている。だが、たとえば銀行は年金がどうしているかを必ずしも知らないし、保険会社も銀行がしていることを必ずしも知らない」と、業態間の情報交流が十分でない点を指摘する。

 

 PSFを通じて、サステナビリティと気候変動に金融がどう対応するかという点で、DNBが「クロス・セクトラル(分野横断的)」アプローチで主導することで、「気づかれない要因を発見したり、そのためにやるべきことに気づいたりできる」との期待がある。

 

 金融機関以外には、DNBと金融監督機関の金融市場庁(FMA)、財務省、インフラ・環境省、NGOのサステナブルファイナンスラボが参加している。また各金融業界団体も加わっている。オランダ年金連合、保険協会、銀行協会、資産ファンド運用協会である。

 

 PSFの会合は年2回開く。試行的に行った昨年は、3月と12月に開いた。またオランダ銀行協会は最近、PSF活動の一環として、政府との間で人権に関する条項に署名した。

 

 オランダの金融界はこれまでも、銀行等が武器取り扱い企業への投融資を禁じたり、年金等のESG運用も盛んなことで知られる。政府・中央銀行にとって、ラボバンクやINGなどの銀行や、APGなどの大手年金等とSDGs推進の合意を得るのは、そう難しくはない。しかし、同国でも主要機関以外の全体の半分の機関は対応が遅れているという。PSFの目的はそうした機関に向けられているようだ。

 

 PSFの今年最初の会合は4月で、その後、10月か11月に二回目を開く予定。参加金融機関はテーマごとにワーキンググループを編成する。すでに現在、5つのワーキングが進行中。SDGsに関する金融資産の影響を計測するグループ、循環経済に関するグループ、気候リスクのグループなどだ。

 

 DNB自身はサステナブルファイナンスに対する規制・監督面での潜在的障壁に関するグループを主導している。Vleeschhouwer氏はPSFの役割について、「監督機関ではなく、ファシリティターであり、触媒機能だ」と位置付けている。

 

 日本の日銀も、「効き目のない量的緩和策」にいつまでも固執しているより、サステナビリティと気候変動を両にらみしたSDGsへのファイナンスの流れを確保することで、新たな資金需要を生み出すことを試みてはどうか。

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