HOME10.電力・エネルギー |アジア開発銀行 昨年の気候変動関連投融資は前年比42%増の37億㌦に増大。2020年には年間60億㌦に増額へ。民間資金誘導で官民連携パートナーシップ目指す(RIEF) |

アジア開発銀行 昨年の気候変動関連投融資は前年比42%増の37億㌦に増大。2020年には年間60億㌦に増額へ。民間資金誘導で官民連携パートナーシップ目指す(RIEF)

2017-02-07 18:37:36

Asiasolarキャプチャ

 

  アジア開発銀行(ADB)は7日、昨年中に同行が気候変動対策関連事業等に投融資したClimate Financeの総額が、前年比42%増の37億㌦(約4255億円)へ大きく伸びたと発表した。2020 年までには、さらに年間60 億㌦に引き上げる方針だ。

 

 ADBのClimate Finance総額は2015年は26億㌦だった。16年の内訳は約7割の26億5000万㌦がCO2排出抑制等の再生可能エネルギー事業などの緩和策に、残りの約3割分の10億8000万㌦が、気候変動に伴う自然災害対策などの適応対策に充当された。

 

 ADBの中尾武彦総裁は、「ADBはパリ協定で各国が約束した国別削減目標の達成を支援するとともに、国連の持続可能な発展目標(SDGs)の達成も支えるために、加盟途上国の気候変動対策を促進していく」と決意を表明した。

 

 そのうえで、2020 年の年間のClimate Finance の目標を現状よりも30%増となる60 億㌦にまで引き上げることを公約した。60億㌦の内訳は緩和策に40億㌦、適応策に20億㌦としている。

 

 ADBのClimate Financeは独自の資金供給に加えて、他の国際機関や民間金融機関等の外部資金を7億100万㌦活用できたという。外部資金の充当先は、緩和策に5億9500万㌦、適応策に1億600万㌦となっている。これらの資金を合わせると2016年の気候変動関連の総資金供給額は44億㌦を超えることになる。

 

 個別事業では、インドのビハール州を流れるガンジス川の洪水対策として新たに橋をかける「Bihar New Ganga Bridge Project」に5億㌦を融資した。融資総額のうち2億㌦分は、適応策としての追加分とされる。緩和策ではタイで、100MWの発電力を持つ商用太陽光発電事業に4700万㌦を融資するなど、各地で再エネ事業を支援した。

 

 ADBは パリ協定に沿った途上国向けの気候変動対策として、官民連携などを軸としたClimate Change Strategic Frameworkを開発中だ。同フレームワークは、2017年から2030年にかけて、気候変動に対するADBの将来の方向を示すものとなる。フレームワークはADBが設定する2030年に向けた新たな組織戦略に盛り込まれる予定だ。

 

https://www.adb.org/news/adb-climate-operations-reach-record-37-billion-2016