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米ダコタ・アクセス・パイプライン問題 英NGOは機関投資家の年金基金に、事業主体や石油会社への投資引き揚げを要請。日本の銀行団への要請と連動(RIEF)

2017-02-17 23:12:54

LFPAキャプチャ

 

 オバマ前政権からトランプ政権への政策転換の象徴的存在である米ダコタ・アクセス・パイプライン(DAPL)建設問題に関与する金融機関へのNGOの働きかけが英国でも起きている。DAPLの事業主体等に投資している年金基金に保有債券売却の要請の声がかかった。

 

 対象となっているのは、ロンドン最大の公的公務員等の年金基金である「London Pension Fund Authority (LPFA)」。運用資産額は46億ポンド(約6600億円)。

 

 同年金の保有資産(2016年9月末時点)によると、DAPLの事業主体のEnergy Transfer Partners社をはじめ、同パイプラインで輸送される石油の保有者であるConocoPhillips、 Marathon Petroleumの3社の社債を保有する。その評価額は、およそ39万3000ポンド分(約5659万円)という。

 

 英国の化石燃料投資の引き揚げ活動を展開しているNGOのDivest Londonが、LPFAに対して、このEnergy Transfer社などの保有債券の放出を要請している。保有資産としては決して多くない。だが、LPFAが投資ポートフォリオからこれら企業を除外すると、他の年金等の運用に波及する可能性もある。

 

 LPFA自体、責任投資(RI)へのコミットメントを長期的視点で宣言、投資戦略にESG評価を位置づけている。DAPL事業が周辺住民の意向を無視する形で建設されると、ESG評価を無視することになるのは明らかだ。

 

 一方、国際NGOのRANや、日本の環境NGOらは昨年末以来、DAPL事業への融資先銀行に融資差し止めを求める活動を、当該銀行の預金者に呼びかける形で展開している。http://rief-jp.org/ct7/67857

 

 NGOたちは、こうした銀行への働きかけとともに、年金等の機関投資家に、事業主体等への投資資金の引き揚げ活動を連動させることで、金融面からDAPL事業の持続可能性を封じようという狙いのようだ。

 

 LPFAのスポークスマンによると、DAPL関係企業への投資は、米大手資産運用会社のBlackRockが運用するプールファンドへの投資だという。すでに昨年中に、 ファンドからの資金引き揚げを進めているとう。ただ、その理由は、DAPL問題とは直接関連していないとし、通常の投資判断に基づくものとの立場をとっている。

 

ただ、昨年12月末時点では、 Energy Transfer社の債券は依然、保有資産に残っている。LPFAは2011年に、その責任投資のスタンスを評価され、英国のFTとIFC共同による「サステナブルファイナンス賞」でアセットオーナー賞を受賞している。

 

http://www.lpfa.org.uk/