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国際協力銀行 インドネシアでの日本の官民プロジェクト「タンジュン・ジャティB石炭火力発電所」計画に17億ドル融資決定。3メガバンクなど追随へ。地元住民や環境NGO反発(RIEF)

2017-03-02 23:11:50

indonesiatanキャプチャ

 

  インドネシアの中部ジャワ州で日本が官民主導で進めている石炭火力発電所増強計画を巡り、環境影響増大への懸念が地元で強まっているが、国際協力銀行(JBIC)はこのほど、約17億㌦の融資を最終決定した。JBICの融資決定で、残りの約16億㌦強の融資も日本の3メガバンクなどの日本の金融勢が中心になって供給することとなり、環境NGOらの反発を招いている。

 

 焦点の発電事業は中部ジャワ州ジェパラ県にあるタンジュン・ジャティB石炭火力発電所(TJB2)。日本の住友商事が100%出資するセントラルジャワパワーが事業主で、関西電力も参画しいる。2006年に660MWの発電所2基(1、2号機)を建設。次いで2011,12年に同じ660MWの2基(3、4号機)を追加建設した。今回、1000MWの2基の拡張を予定している。

 

 再三の発電所の拡張に対して、現地では、環境影響評価(アセスメント)で想定されなかった海洋汚染が事業実施とともに発生し漁業に影響が出ているほか、石炭灰などの廃棄物の海上輸送による漁船との衝突リスクの増大なども問題になっているという。また環境NGOのFOE、Greenpeace、BankTrackなどは、パリ協定発効で、途上国においてもCO2排出量の多い石炭火力の増強は認められない、との立場で反対を続けている。

 

 このため、これまで融資金融団に加わっていた仏金融機関のうちBNPパリバは2015年に、クレディ・アグリコとソシエテ・ジェネラルは昨年12月にそれぞれ、住民やNGOの反発と、パリ協定発効を重視して、融資団から撤退した。

 

 一方の日本勢は、仏金融機関の撤退分を肩代わりする形で、3メガバンクに加えて、三井住友信託銀行、農林中央金庫が参加し「みんなで融資すれば怖くない」のスタンスを強めるかのようだ。「オールジャパン」の批判をかわす恰好で、海外勢は唯一、シンガポールのOversea-Chinese Banking Corporation(OCBC)が加わっている。

 

  インドネシアでは、同じ中部ジャワ州のバタンで、別の日本の商社主導による日本の官民プロジェクトの石炭火力発電所建設をめぐり、地元住民・NGOとの対立が続いた。しかし、JBIは昨年6月、20億5200万㌦の融資を決め、残りは今回と同じ日本の民間銀行やOCBCが中心となって、融資を決定している。

 

 こうしたことから、環境NGOのFOEJapanの波多江秀枝氏は「バタン石炭火力発電への融資から1年もたたないのに、JBICをはじめ、ほぼ同じ顔ぶれの日本の金融勢が融資を決めたのは大変遺憾。地元ではこれまでの石炭火力ですでに被害が広がっている。金融機関は融資を決める前に、事業者がこうした問題を解決するよう強く要請するべきだ」と批判している。

 

 BankTrackのYann Louvel氏は「フランスの銀行が撤退したのに、その穴を短期間に日本勢とシンガポールの銀行が埋めたのは驚き。今回の事業に関与するすべての金融機関は、事業が引き起こす気候変動と健康への影響の責任を負うべきだ」と、日本の金融機関の責任の大きさを指摘する。

 

 金融機関は、石炭火力のような大規模なプロジェクトファイナンスに伴う環境・社会・ガバナンス(ESG)課題を自主的にチェックする「エクエーター原則(赤道原則)」を設定している。日本の3メガバンクなども署名しているが、今回の案件には適用されていない。

 

http://www.jbic.go.jp/en/information/press/press-2016/0227-53954

http://www.banktrack.org/news/japanese_and_singaporean_banks_step_in_to_finance_indonesian_coal_plant_in_face_of_opposition_from_communities_and_environmentalists