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グリーンボンドとローンを合わせた「グリーンデットファイナンス」市場、2010年以来で累積1900億㌦(約21兆8500億円)。3分の1は中国と国際金融機関の発行。民間機関が公表(RIEF) 

2017-03-14 01:57:43

greendebtキャプチャ

 

  2010年以来、グローバル金融市場で発行されたグリーンボンドとグリーンローンを合わせた「グリーンデットファイナンス」の総額が、1900億㌦(約 21兆8500億円)に達したことがわかった。このうち、3分の1の695億㌦は中国と世界銀行などの国際金融機関による発行で占められている。

 

 米年金情報誌Pensions & Investors(P&I)のまとめによる。デットファイナンスのうち、グリーンボンドの発行額は昨年が920億㌦で前年の倍に急増している。ボンドとローンを合わせた中国の発行総額は362億8000万㌦。このうち大半の311億㌦を昨年1年間だけで調達している。

 

 世銀を筆頭とする国際公的金融機関の発行総額は332億1000万㌦。このうち、グリーンボンドを最初に発行した(2007年)欧州投資銀行(EIB)が2010年以来で1840億㌦を調達しており、全体のリード役を務めた形だ。EIBはClimate Awareness Bond( CAB)プログラムで毎年定期的にグリーンボンド(CABボンド)を発行し、グローバル・グリーンデット市場の流動性供給に貢献してきた。

 

 国別では中国がダントツだが、二位にフランスが283億1000万㌦で入っている。次いでオランダ、米国、ドイツの3か国が150億~160億㌦前後と、ほぼ同じレベルで並んでいる。

 

 目を引くのが米国市場の動き。グローバル市場が近年になってデット調達が急増しているのに対して、米国では対照的だ。米国での発行額の159億㌦のうち、約6割に相当する101億㌦が、実は2010年の発行だった。

 

 米国では、ボンドやローンなどのデットファインスよりも、エクイティ、ファンドなどによるグリーン投資がこれまで主流だったためだ。個人投資家、機関投資家の資金量の豊富さを物語る。ただ、逆にみると、米国のグリーンデットファイナンス市場はまだ十分に開発されておらず、その分、成長可能性を秘めているとの見方もできる。

 

 米国の発行体別では、IT企業のアップルが単一発行体としては群を抜いている。アップルはグローバルに使用電力を100%再生可能エネルギー電力に切り替えることを宣言しており、昨年2月には、米国の単一のグリーンボンド発行で最高額の15億㌦の調達を実施している。

 

 日本は110万㌦(約1兆2650億円)。P&Iのランキングでは19位で、韓国の190万㌦を下回っている。アジアでは中国、インド、韓国についで4番目の地位に甘んじている。グリーンファイナンスの日本市場は極めて低迷、と言わざるを得ない。

 

http://www.pionline.com/article/20170309/INTERACTIVE/170309827/190-billion-in-green-debt?newsletter=defined-contribution-digest&issue=20170309#utm_medium=email&utm_source=newsletters&utm_campaign=pi-defined-contribution-digest-20170313&CSAuthResp=1489416765668%3A0%3A116634%3A455%3A24%3Asuccess%3A1D5564A2F11A67F1869C0EB504C34DBA