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アジア開発銀行(ADB)5月に日本の投資家向けにグリーンボンドを「売り出し債」として定期発行へ。大和証券が発行・販売を担当(RIEF)

2017-04-01 22:42:42

ADBキャプチャ

 

 アジア開発銀行(ADB)はグリーンボンドを日本の投資家向けの「売り出し債」として定期的に発行すると公表した。5月に第一号を販売する予定で、大和証券グループがその発行・販売を担当する。ADBは調達資金でアジア・太平洋地域内の気候変動対策事業を支援する。

 

 売り出し債は、既に発行された有価証券を50人以上の投資家向けに一括して販売勧誘する方式。発行条件等は確定しており、新規発行の有価証券の公募と対比される。

 

 ADBは、2015年3月に最初のグリーンボンド5億㌦を公募で発行したのをはじめ、昨年8月には139億㌦の大型ボンドを発行するなど、アジア・太平洋諸国での温暖化対策事業を推進するためのグリーンボンドによる資金調達を積極的に展開している。

 

 今回は 資金力のある日本の機関投資家、個人の両投資家向けにグリーン・ボンドを定期的に発行して、安定的な資金調達を目指すという。ボンドは大和証券が引き受けて、「ADBグリーンボンド」として投資家に販売する方針。

 

 ADBは独自の「グリーン・ボンド・プログラム」を設けている。同プログラムは、アジア・太平洋地域諸国の環境と整合性のある持続可能な成長を支援することで、地域の貧困の削減、国民の生活の質の改善、温暖化ガスの排出抑制、気候変動の影響への適応、などを実現することを目指す。

 

 資金使途の対象は、クリーン・エネルギー、持続可能な運輸・都市開発、炭素隔離のための土地利用・森林管理、耐気候性の構築、および関連する政策・ガバナンス・制度の強化の5つの優先分野を設定している。これらの分野の適格プロジェクトをADBの各分野の専門家が評価し、投資先として選定する。

 

 事業の選定には、世界銀行などの国際開発金融機関による共同アプローチの基準に加えて、環境的に持続可能な成長を実現するグリーン・プロジェクトの選定基準を活用するという。

 

 発行と販売を担当する大和証券は、これまでも社会的課題を投資により解決することを目指す「インパクト・インベストメント」を積極的に手掛けてきた。環境金融研究機構が選定する「サステナブルファイナンス大賞」でも2015年の実績で、「優秀賞」を受賞している。

 

 ADB は「ストラ テジー2020」政策において、 2020 年までに年間の気候関連投融資額を、2015 年の 30 億㌦から 倍の60 億㌦に増大させる計画を示している。同投融資額を全投融資額の約 30%まで引き上げ る目標だ。

 

 60 億㌦年間投融資額の3分の2に当たる40 億㌦は、再生可能エネルギー、エネルギーの効率 化、持続可能な交通システム、スマートシティの構築を支援する緩和プロジェクトに投じる。残りの 20 億㌦は、インフラの改善等の適応プロジェクトに振り向ける、などの予定。

 

 ADBは今年で創立 50 周年を迎える。このため、 5 月 4 日から 7 日にかけて、横浜で年次総会を開催する。その場でも、日本の投資家向けにグリーンボンド発行に伴うADBのグリーン戦略をアピールする予定という。

http://www.daiwa-grp.jp/data/attach/2146_37_20170327a%27.pdf