HOME6. 外国金融機関 |米ゴールドマン、日本国内で既存の太陽光発電事業に投資する300億円規模のファンド立ち上げへ。O&M強化で資産価値増強へ(各紙) |

米ゴールドマン、日本国内で既存の太陽光発電事業に投資する300億円規模のファンド立ち上げへ。O&M強化で資産価値増強へ(各紙)

2017-04-19 13:05:21

GSキャプチャ

 

 各紙の報道によると、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント(GSM)は、今夏にも稼働中の太陽光発電施設に投資するファンドを日本で立ち上げる。年金基金や生命保険会社など機関投資家向けに300億円規模の投資資金を得ることを目指す。マイナス金利下で有望な投資先を探している機関投資家の需要に応えるという。

 

 ゴールドマン・サックスは日本政府が再生エネルギー発電からの固定価格買取制度(FIT)を導入した翌年の2013年、グループ内で出資するジャパン・リニューアブル・エナジー(東京・港)等を通じて、日本国内での太陽光事業に参入、また、これまでに300億円規模のソーラープロジェクトボンドを組成、機関投資家等の投資需要に対応してきた。

 

 こうしたこれまでの経験を踏まえて、新規事業だけでなく、既存の太陽光発電設備を投資対象としたファンドを設け、セカンダリー市場に参入することとした。ファンドは300億円規模で立ち上げるが、今後、5~10年後には2000億円前後に拡大できると考えているという。保険会社や年金基金などの機関投資家の間で、運用資産の多様化を進める需要が広がっていることを踏まえている。

 

 これにより、ゴールドマンサックスの日本市場での再エネ戦略は、新規事業については自社投資とプロジェクトボンドの組成で事業者と投資家をつなぎ、既存事業についても、セカンダリー市場で事業者と投資家をつなぐ両面の体制が整うことになる。

 

 ファンドに組み込む既存の太陽光発電事業については、稼働済みの施設から立地条件や保守管理等などで日射量などの条件の良いメガソーラーを選んで取得する。取得後に運営上の改善も促し、長期保有する方針だ。既にゴールドマンサックスは、再エネ事業のO&M(運営・保守管理)業務で実績のあるスマート・エナジー社とパートナー提携を結んでいる。http://rief-jp.org/ct6/69087?ctid=70

 

 わが国のFIT制度は、太陽光発電を中心に市場を拡大してきた。しかし、制度を運営する経済産業省が毎年、太陽光発電の買い取り価格を引き下げてきたほか、2017年度からは大規模太陽光発電については買取制度を入札制度に切り替えるなど、再三の制度変更で政策リスクが高く、新規投資が次第に減少している。

 

 市場では、新規事業よりも、すでに稼動している既存事業で発電効率のいい物件への投資需要が高まっている。GSMでは「売電契約が残る期間中に投資に見合った利回りを安定して得られる」と指摘している。

http://www.goldmansachs.com/japan/