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フランスの大統領選挙第一回投票で優位に立ったマクロン氏。サステナブルファイナンス推進の「公約」掲げる。政府のグリーンボンド発行増で民間資金をグリーン市場に誘導など(RIEF)

2017-04-25 15:58:59

macronキャプチャ

 

  フランスの大統領選挙の第一回投票で優位に立った中道系独立候補のエマニュエル・マクロン元経済産業デジタル相は、大統領に選出されると、サステナブルファイナンスを促進するため、同国の銀行と生命保険会社に対してSRIファンドの販売を義務付けるなどの推進策を実施するとの公約を示した。

 

 フランスの責任投資などを推進する非営利団体French SIF((Forum pour L’Investissement Responsable: FIR)の各候補に対する公開質問状に回答した。対立候補のルペン氏は回答をしていない。

 

 マクロン氏の回答によると、もし大統領に選出された場合、欧州通貨危機で低迷した金融市場への投資を刺激するため、すべての投資商品に対して、一回限りの課税(一律30%)で投資が出来る制度を導入する。また、投資商品を販売する銀行、生保に対して、顧客に商品を販売する際、少なくとも一つ以上のサステナブルファイナンス商品やSRI商品を提供することを義務化する。これらの措置で、個人投資家の責任投資ニーズを高めることを目指す。



 さらに、気候変動や生態系保全対策として、500億ユーロ(約6兆円)の公的投資を行い、経済全体をより持続可能な方向にシフトさせる。このうち、120億ユーロは生態系の移行対策にターゲットを定め、50億ユーロは持続可能な農業の改革に向ける。

 


 ただ、マクロン氏は、こうした公的投資の増額だけでは、必要な経済社会全体の変革には不十分として、これらの公的投資は民間投資を引き込む呼び水として活用すると指摘している。たとえば、再生可能エネルギー分野では、一定期間(5年以上など)を設定して、政府がグリーン事業のリスク低減のために資金を供給し、民間の追加資金を300億ユーロ、呼び込むことを目指す。

 

 政府によるグリーン事業分野のリスク低減策のひとつとしては、政府自身によるグリーンボンドの発行を増額し、その資金をグリーン事業のリスク低減に振り向けることで、市場に対して政府の姿勢を明確に示す、としている。こうした政府の明確な支援策を背景に、民間の金融界に対しては、パリ協定が目指す2℃目標の達成のために、グリーンボンドの発行や、低炭素事業ローンなどを含めたESG・カーボン・インデックスなどに基づくポートフォリオのグリーン化を求めていく。

 

  さらに、そうした金融活動の成果について情報開示の強化についても言及している。民間の持続可能報告書等の開示を、政府が監視、評価、強化するほか、金融機関のサステナブル金融商品に対して、グリーンラベルやSRI投資ラベルの付与を通じて、市場標準を確立していくとしている。

 

 さらにマクロン氏は、マーク・カーニー英イングランド銀行総裁が、気候変動が金融市場の安定に長期的なリスクとなる可能性があるとの指摘を評価し、そうしたリスク軽減のために、銀行や保険会社の自己資本評価においてグリーン資産を評価するシステムを考慮したいと付け加えている。

 

http://www.frenchsif.org/isr-esg/wp-content/uploads/LettreOuverteFIR_Re%CC%81ponseMacron.pdf