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非人道兵器「クラスター弾」企業への投融資資金、世界166の金融機関から310億㌦。米中韓の金融機関が中心。日本でもMUFGなど4社が2120億円を投融資。国際NGOが報告書(RIEF)

2017-05-25 11:22:05

Cluster1キャプチャ

 

 「クラスター弾」の廃絶を目指す国際的な非政府組織グループ「クラスター兵器連合(CMC)」は、世界の166の金融機関が4年間で合計310億㌦(約3兆4000億円)を、クラスター爆弾の製造企業に投融資していたとする報告書をまとめた。国別では米国が最も多く、中国、韓国の順。日本は三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)など4金融機関が合計2100億円を投融資していた。

 

写真は、クラスター弾製造企業への投融資反対について話すフィロズ・アリザダさん(右)とマイッケ・ベネシュさん(左)=24日、参院議員会館で。東京新聞より)

 

 クラスター弾は、たくさんの小さな爆弾を入れた親爆弾を目標の上空で爆発させて、子爆弾を広範囲にばらまき、それらが地表で一斉に爆発するように設計された兵器。目標の近くの一般市民を巻添えにするほか、目標に命中しなかった子爆弾は不発弾として、戦闘行為の終了後にも一般市民を脅かし続ける。非人道的兵器として、日本を含む100カ国以上が禁止条約に加盟している。

 

 CMCの今回の調査は、クラスター弾を製造している企業6社(China Aerospace Science and Industry(中国)、Norinco (中国)、Hanwha (韓国)、Poongsan (韓国)、Orbital ATK (米国)、Textron (米国) ) と金融機関の関係を調査し、投融資している機関を「不名誉リスト(Hall of Shame)」、投融資を禁止している機関を「名誉リスト(Hall of Fame)」、取り組みは進めているものの不十分な機関を「次点リスト(Runners-up)」の3つに分類し公表した。

 

 調査期間は、2013年6月~2017年3月で、世界では166の金融機関が延べ310億㌦をクラスター弾製造企業6社に投融資していた。金融機関の国別内訳は、1位米国、2位中国、3位韓国の順。3か国とも条約に加盟していない。166機関のうち、禁止条約の締約国の金融機関は15で、加盟していない諸国の金融機関は151と、条約加盟と金融機関の取り組みの相関関係が明確に表れている。

 

clusterキャプチャ

 

 前回調査(昨年6月公表)から、金融機関の数は8社、投融資額は約3000億円増えた。大半は米国や中国などの条約非加盟国の金融機関で、最高額は米国のT.ロウ・プライス社(約2400億円)だった。

 

 

   投融資額が多い金融機関の順位は次のようになっている。1位.T. Rowe Price、 2位.Vanguard(米)、 3位.JP Morgan Chase(米国)、 4位.Black Rock(米国)、 5位.Bank of America(米国)、 6位.Textron pension Fund(米国)、 7位.MUFG(日本)、 8位.China Construction Bank(中国)、 9位.Wells Fargo(米国)、 10位.Capital Group(米国)。

 

 「不名誉リスト」入りした金融機関の国別順位は、1位が米国(85)、2位.中国(30)、3位.韓国(27)、4位.台湾(5)、5位.日本(4)、6位.カナダ、英国(各3)8位.フランス、シンガポール(各2)、10位.ドイツ、インド、イスラエル、スペイン、スイス(各1)。

 

 日本を含む英国、カナダなどの条約加盟国からも15社が挙がり、日本の金融機関で「不名誉リスト」に名を連ねたのは、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG:1020億円)、三井住友フィナンシャルグループ(SMBC:670億円)、オリックス(390億円)、第一生命(40億円)の4社。いずれも米国のOrbital ATK社及びTextron社への債権や融資等 。

 

 このうち、MUFGは取引額でも世界で7番目の多さで、融資額で3位、投資・銀行業務で5位と、「不名誉リスト」の上位にランクされている。

 

 「名誉リスト」入りした日本の金融機関はないが、唯一、「次点リスト」には、三井住友信託銀行(SMTB)が入った。SMTBは前回に引き続いての次点入りで、クラスター弾製造企業を投資対象から除外しているものの、その方針が関連企業の三井住友トラスト・アセットマネジメント及び日興アセットマネジメントに及んでいない点が不十分と指摘されている。

 

 「名誉リスト」入りした機関もは42機関で、「次点リスト」入りは46機関で、ともに条約締約国の金融機関。

 

 日本は2009年に禁止条約に署名しており、全国銀行協会は翌2010年に、クラスター弾の製造を目的とした銀行融資を禁じている。ただ、日本は条約には批准しているが、投融資を禁じる法整備は行っていない。報告書をまとめたマイッケ・ベネシュさんらは24日、都内で国会議員と面会し「投融資を禁じる法整備が必要だ」と要請した。

 

 日本では公的年金を運用する「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」が、クラスター弾製造企業の株式を保有していることもわかっている。http://rief-jp.org/ct4/69837

http://www.jcbl.jpn.org/