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欧州投資銀行(EIB)がグリーンボンド発行10周年を機に、期間30年の超長期グリーンボンド10億ユーロを発行(RIEF)

2017-07-05 20:09:26

 

  欧州投資銀行(EIB)は世界で最初にグリーンボンドを発行してから今月で10 年の節目を迎えた。10周年に合わせて、償還期間30年という超長期のグリーンボンド(Climate Awareness Bond)を10億ユーロ(約1280億円)分、発行した。EIBは今回の分を含めて11の通貨建てで、総額190億㌦(2兆4300億円)以上をグリーンボンドで調達したことになる。世界のグリーンボンド発行額のほぼ1割に相当する。

 EIBは同銀行のグリーンボンドをClimate Awareness Bond(CAB:気候意識債)として、2007年7月にユーロ建てで6億ユーロ分を発行した。資金使途は欧州域内6カ国の14の気候変動対策プロジェクトで、再生可能エネルギー事業が83%、エネルギー効率化事業が17%の割合。国別ではスペインに44%、ドイツ25%、オーストリア16%の順。

 

 その後、EIBは定期的にCABを発行、総額は200億ユーロに迫っている。調達資金でファイナンスしたグリーン事業数は160以上に及ぶ。さらに、発行するボンドの償還期間も、2年超の短期債券から、6年超、9年超、20年超と、多様に発行してきたことで、グリーンボンド市場の流動性を提供するベンチマークの役割を果たしてきた。日本円でも2014 年に50億円のサムライ・グリーンボンドを発行している。

 

 10周年に合わせて発行された30年債は、償還日が2047年で、これまでの最長のグリーンボンドとなった。EIBは当初、5億ユーロの発行を計画したが、機関投資家からの購入希望が強く、10億ユーロに増額した。クーポンレートは1.5%、スプレッド価格はミッドスワップレート・プラス5bp。同期間のドイツ国債より0.361%上乗せしたレートとなった。

 

 EIBキャプチャ

 

 購入投資家は48機関で、6割は資産運用機関が、37%は保険会社が、残りの3%は各国中央銀行などの公的機関が、それぞれ購入した。地域的には発行額の99%は欧州の投資家だった。ルクセンブルク証券取引所のグリーン市場に上場された。共同主幹事は、BNPパリバ(仏)、BofA Merrill Lynch(米)、コメルツバンク(独)、ウニクレジット(伊)で組織した。

 

 EIBの財務局長、Bertrand de Mazières氏は「これまでにない長期のCABの発行は、EIBが気候変動と、サステナブルな長期投資の推進んいコミットしていくことを強調したもの。初のグリーンボンド発行から10年の節目にEIBがグリーンボンド市場に持続的なかかわりを深めるシンボリックな発行でもある」と述べている。

 

 BofA Merrill Lynchのグリーンボンド・グローバル担当者のSuzanne Buchta氏は「10周年を記念するボンドの発行で、10億ユーロの規模も、30年の超長期の償還期間も、グリーンボンド市場が着実に成長していることを証明するものだ。EIBの役割はその市場の中にある」と評価している。

 

http://www.eib.org/investor_relations/press/2017/fi-2017-013-eib-new-nov47-cab-longest-green-bond.htm