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上半期のグローバル市場のグリーンボンド発行額、前年同期比66%増の617億㌦。年間1200億㌦ベースに。第三者評価取得傾向強まる。Moody'sが推計(RIEF)

2017-07-28 11:51:23

Moody's1キャプチャ

 

 格付機関のMoody’sは、今年上半期のグローバルなグリーンボンド市場動向をまとめた。発行額は前年同期比66%増の617億㌦で、このままでいくと年間で1200億㌦に達するとしている。また第三者評価を得ているボンドは、第2四半期には73%に達するなど、グリーンボンドの信用力強化を意識する発行体が増えているという。トランプ政権のパリ協定離脱宣言の影響はみられない。

 

 上半期のグリーンボンド市場の動向については、英非営利団体のClimate Bonds Initiative(CBI)が前年同期比35.9%増の530億㌦、との推計を公表している。「グリーン性」の評価などについて各評価機関見解が異なるため、総額に開きがある。

 

 Moody’sによると、グリーンボンド市場の成長は順調だが、過去4四半期をみると、前年比の伸び率は24%増で、それ以前の4四半期の170%増よりはスローダウンしている。要因の一つは、中国の発行額の変化だ。2016年は年初から中国の発行が爆発的に増え、年間でも4割近くを占めた。だが、今年も中国が引き続き発行額では一位だが、第2四半期の中国物の割合は市場全体の21%と“安定的”になっている。

 

 「中国依存」の色彩が強かった2016年に比べて、今年はたとえば第2四半期では期間中の発行体数が過去最高の85機関を数えるなど、多様化が進んでいる。

 

Moody's4キャプチャ

 

  また第三者評価を取得するグリーンボンドはこれまで発行額の半分くらいだったが、第2四半期では全体の73%、取得傾向が低かった米国市場でも55%と過半数を超えた。国際基準となるグリーンボンド原則(GBP)の整備・普及のほか、機関投資家などの投資家サイドに、「グリーンの客観性」を求める動きが強まっていることを反映しているとみられる。

 

 Moody’sではGBPが2017年版の基準改定を行い、またソーシャルボンドについて新たにソーシャルボンド原則(SBP)を公表するなどの動きが、今後の市場の安定した拡大につながると期待を示している。

 

 上半期の国別発行状況では、中国が第一位で全体の21.0%、次いで米国(17.9%)、オランダ(11.2%)、ドイツ(10.1%)、世界銀行などの国際金融機関(9.0%)、フランス(5.9%)の順。日本は影すらない。

 

Moody's2キャプチャ

 

 グリーンボンドの信用度については、Moody’sの格付では上半期発行分の36.4%がAaaをつけ、21.7%がAaなどと高い格付が多い。国際金融機関発行分やフランスなどのグリーン国債などが登場したこともある。Baaまでの格付取得が93.6%。一方、それ以下の投資不適格に格付されたボンドも6.4%あった。

 

 トランプ政権のパリ協定離脱を始めとする“反温暖化姿勢”の影響は、グリーンボンド市場にはほとんど影響していない。むしろ、再エネ発電の経済効率の向上や、米国をはじめ各国で広がる「脱炭素化」の動きが、市場の成長を押し上げている、とMoody’sは分析している。

 

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