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米最大の公的年金カルパース(CalPERS) 石炭関連産業向け投資株を売却。カリフォルニア州の法規制を受け入れ。トランプ政権の石炭産業擁護の効果なし(RIEF)

2017-08-08 16:51:56

CalPErsキャプチャ

 

 米国最大の公的年金であるカリフォルニア州職員退職年金基金(CalPERS)は、保有していた14の石炭関連企業の株を売却したことを明らかにした。14日に開く投資委員会で正式に説明する。CalPERSが石炭関連企業への投資資金をDivestmentしたことを明らかにしたのは初めて。

 

  カリフォルニア州では2015年10月に、州の二大公的年金であるCalPERSとカリフォルニア州教職員年金基金(CalSTRS)に対して、石炭関連収入が半分以上を占める海外のエネルギー企業向けの投資を今年7月までに、引き揚げることを求める法律(SB185)が制定されている。

 

 同法を受けて、CalSTRSは7月1日付けで、残っていたインドネシア、オーストラリアなどの石炭関連企業株を売却を完了した。http://rief-jp.org/ct6/70796

 

 ただ、同法にはDivestmentによって投資収益等に影響が出る場合は猶予が認められている。このため、CalSTERSの対応はこれまで明確にされてこなかった。CalPERSは石炭関連企業株についての金融的分析を示していないが、これまで数年にわたって石炭関連企業の株価は低落状態で、倒産する企業も相次いでいる。石炭産業を擁護するトランプ政権になってもこの傾向に大きな変化は無い。

 

 こうしたことから、CalPERSは5月に開いた投資委員会で、投資戦略として石炭産業向けの投資から引き揚げることを非公式に決定をしたとみられる。今回の投資委員会では正式にその方針と実績を承認するため、委員会の議題に盛り込んだとみられる。これまでCalPERSは投資判断ではなく、法律によってDivestmentを義務化することに反対の姿勢を示してきた。

 

 CalPERSの関係者によると、法規制の対象となるのは17の石炭関連企業。このうち、3社は再生可能エネルギーモデルへの転換を打ち出しており、引き続き投資対象とする考え。残りの14社への投資は引き揚げる。投資を継続する3社は南アフリカの Exxaro Resources、タイのBanpu Public Co.、インドネシアのPT Adaro Energy。

 

 14社からの投資資金の引き揚げ額は総額で1400万㌦(15億4000万円)。CalPERSの全株投資額は1813億㌦なので、Divestment額は極めて小規模となる。CalSTRSの総資産は3316億㌦に達する。

 

https://www.calpers.ca.gov/page/home