HOME |世界銀行など6つの国際公的金融機関の昨年のClimate Finance総額2740億㌦(約3兆円)。前年比9.3%増。緩和策では7割が投資ローン。民間との協調ファイナンスも増加(RIEF) |

世界銀行など6つの国際公的金融機関の昨年のClimate Finance総額2740億㌦(約3兆円)。前年比9.3%増。緩和策では7割が投資ローン。民間との協調ファイナンスも増加(RIEF)

2017-09-14 17:59:27

MDB1キャプチャ

 

  世界銀行グループやアジア開発銀行(ADB)など、6つの国際的公的金融機関(MDB)が昨年中に気候変動対策のため、途上国や新興国に資金供給したClimate Financeの総額は、274億㌦(約3兆円)となり、前年比9.3%増加した。

 

上のグラフは2011~2016年の6機関のファイナンス額の推移)

 

 2016年のファイナンス額は順調に伸びたが、過去もっとも多かった2014年の283億㌦には及ばなかった。MDB6機関の資金供給額のうち77%に相当する212億㌦が再生可能エネルギー発電や省エネの普及などの緩和策に投じられ、残りの23%が適合策に向けられた。民間金融機関や他の公的機関等との共同融資(Co-finance)を含めると、6530億㌦の資金を気候変動対策に投じたことになる。

 

 6機関は世銀グループ(WBG)、ADBのほか、欧州復興開発銀行(EBRD)、アフリカ開発銀行(AfDB)、欧州投資銀行(EIB)、米州開発銀行グループ(IDBG)の各機関。これら6機関は2011年以来、Climate Financeに関して共同で情報開示を実施しており、これまでの6年間の総資金供給額は1580億㌦(約17兆3800億円)に達している。

 

MDB4キャプチャ

 

   機関別では世銀グループが全体の約4割に相当する114億9400万ドルを拠出、以下、ADB、EIB、EBRD、IDBG、AfDBの順。資金が投じられた地域別でみると、もっとも配分が多かったのが南アジア(20%)、ついで東アジアと太平洋(19%)、非EUの欧州諸国と中央アジア(18%)、中南米とカリブ海諸国(16%)、EUの低所得国(10%、主にEIBが活動)、中東と北アフリカ(9%)、サブサハラアフリカ(7%)、他の地域(0,5%)。

 

 緩和策のファイナンスを使途別にみると、再生可能エネルギー事業が29%と最も多い。次いで、輸送(電化等)が22%、省エネ19%、横断的事業(15%)と続く。地域別の使途をみると、南アジアは再エネがトップだが、東アジアと大洋州では省エネ事業が、中南米では横断的事業がトップになるなど、地域の気候変動対策取り組み度合いによってファイナンスの対象額も異なっていることがわかる。

 

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  緩和策へのファイナンスを手法別でみると、7割強がInvestment loanで、事業ごとの融資。ついで7%が対象国の政府等と協調する「policy-based lending」、5%が信用枠の供与(Line of Credit)、贈与(3%)、出資(equity,3%)、保証(Guarantee,3%)などとなっている。

 

https://www.adb.org/news/mdbs-increase-2016-financing-tackle-climate-challenge