1kWh当たり2㌣を下回る世界最安値の太陽光発電事業、サウジアラビアでアブダビの再エネ会社が応札。日本勢も商社など3社が最終入札に残る(RIEF)
2017-10-04 00:47:19
サウジアラビアの再生可能エネルギー事業開発局(REPDO)はこのほど、現在計画中の300MWの大規模太陽光発電所の入札で、1kWh当たり2㌣を切る1.786㌣(0.0669736サウジアラビアリアル=約2.02円)の応札があったことを明らかにした。2㌣を下回った応札は世界でも初めて。
2㌣以下で応札したのは、アブダビのAbu Dhabi Future Energy Company (Masdar)。 これまでの太陽光発電事業での最安値の入札は、日本商社の丸紅と、中国の太陽光パネルメーカーのジンコソーラーが連携して受注したアラブ首長国連邦(UAE)のSweihanでの世界最大級のメガソーラー事業での1kWh当たり2.3㌣(約2.6円)だった。http://rief-jp.org/ct6/67408
サウジは石油・ガスの豊富な埋蔵量を誇るが、化石燃料を温存し、新たに再生可能エネルギー開発を国全体で進める「国家再生可能エネルギー計画(National Renewable Energy Program :NREP)」を打ち出している。同計画では2023年までに 9.5 GWの再エネ発電を整備する予定。
このうち最初の太陽光発電事業、300MW分については4月の時点で応札企業を27社、400MWの風力発電事業については同じく24社を選んで入札準備を進めてきた。太陽光発電事業はサウジ北部のSakaka地区での建設が予定されている。
今回、最終入札の前に、技術面での入札の開始セレモニーの形で実施したwebinarで、電源ごとに適切な建設単価・燃料費等を想定してモデル計算を実施して発電コストを評価する 各社の均等化発電原価(Levelized Cost of Electricity : LCOE)を開示した。
価格提示したのは、Abu Dhabi Future Energy Companyを含めて8社。REPDOは今回の提示額を踏まえ、各社が提案依頼書(RfP)の必要事項を満たしているかどうかを精査し、改めて11月28日に最終入札企業を公表する予定という。8社の中には、日本の丸紅、三井物産、日揮の各社が残った。
2㌣を切る価格を提示したのはAbu Dhabi Futureだけ。2位のサウジのAcwa Powerは2.342㌣、丸紅は3位の2.66㌣をつけた。
太陽光発電事業の建設予定地のSakakaは、日照条件のいい砂漠地帯で、土地代はほぼゼロ、政府の肝いり事業でもあることから、金融条件も有利で、当初から「2㌣割れ事業になる」との見方が専門家の間でも広がっていた。
日本の固定価格買取制度(FIT)の買い取り価格は、発電容量が10kW以上2,000kW未満のもので、今年度以降3年間が21円+税。2000kW以上は入札制に移行し、上限価格は同じ21円+税となっている。サウジとは土地価格の違いや、日照条件の差などがあるが、単純に比較すると、日本の価格は約10倍ということになる。
応札した8社の条件と建設計画の内容は次の通り。
Developer | completion date (2019) | nominal capacity on commercial opening date (MW) | LCOE (halalah/kWh) | LCOE (~US$ cents /kWh) |
---|---|---|---|---|
Abu Dhabi Future Energy Company (Masdar) | 7 June | 300 | 6.69736 | 1.78567 |
Acwa Power | 31 March | 300 | 8.7815 | 2.342 |
Marubeni Corporation | 14 April | 310 | 9.976 | 2.66 |
Engie | 12 July | 381 | 10.393 | 2.77 |
JGC Corporation | 30 April | 355 | 10.44139 | 2.784 |
Mitsui & Co. | N/A | 300 | 10.71 | 2.856 |
Total | 2 May | 300 | 10.72174 | 2.859 |
Cobra | 30 Paril | 300 | 12.62521 | 3.366 |